一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 太田殿下はオールスターに出場するのか
今回は『1970年7月6日特大号』。定価は90円。
新人・
太田幸司。6月22日現在で10試合に投げ(うち先発3試合)、まだ救援での1勝しか挙げていないが、以前の「人気先行」の評価が少しずつ変わってきた。
中原コーチも「スピードが出てきたし、変化球もいい。制球と球速のバランスが取れてきた。これからは登板の機会も増えると思うので、頑張ってほしい」と話していた。
注目はオールスターのファン投票。ベストテンの4位か5位には入るのではと言われていたが、
「とんでもありません。実績のない僕なんかおよびじゃない。オールスターの期間中はみっちり練習し、後半戦にそなえます」
と本人は必死に否定していた。
中日の2年目・
星野仙一が大暴れした話もあった。
5月17日、大洋とのダブルヘッダー第1試合にリリーフし、2回3分の2をピシャリと抑えたが、このとき右ヒジに痛みを感じたという。
それでも
水原茂監督は2試合目に星野を先発で起用。中日打線が4点を先行し、星野も5回までを無失点に抑えたが、6回に星野が一気に崩れ、逆転され、マウンドを降りた。
この後、星野はロッカールームで机をひっくり返し、椅子を蹴飛ばし、茶碗をたたき割る大暴れ。
星野からしたら、ヒジの痛みを訴えながら(水原監督には報告していた)、1日2試合に投げ、しかも勝利投手の権利がある5回までを無失点で抑えたのだ。気をつかって6回からリリーフを出してくれてもいいんじゃないか、という不満だったらしい。
黒い霧は続き、
阪神の
江夏豊が暴力団員から時価百万円の時計をプレゼントされたことが明らかになった。
記者会見をした江夏は、「男が暴力団員と知らず、酒を飲んだ。時計は68年にもらったもので、三振奪取記録のお祝いだと言われた。そんな高いものだとは思わなかった」と話している。
野球賭博については、
「やましいことはいっさいやってないと断言できる」
と話していた。
さらにその後、この暴力団員と会食をした4選手の名前も明らかになった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM