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【MLB】レイズオーナー、筒香活躍しなかったら驚く

 

膨大なデータを分析し、筒香を獲得したというレイズのスターンバーグ・オーナー。筒香の活躍を確信し、08年以来のア・リーグ制覇を目指す


 レイズのスチュアート・スターンバーグ・オーナーはニューヨークのブルックリン育ち。野球ファンとして育ち、近所の道路や公園で頻繁にプレーしていたそうだ。60歳になったが、野球好きはそのまま。レイズのキャンプ地では、日除け帽子をかぶり、サングラスをし、短パンと、カジュアルな服装のオーナーが、精力的に歩き回っている。

 新加入の筒香嘉智の打撃練習も熱心に見ているスターンバーグはウォール街の元投資銀行家。レイズのオーナーとなると、「レイズウェイ」と呼ばれる抜け目ない、独特のチームづくりで、サラリー総額7000万ドル程度ながら、2億ドルを越すヤンキースやレッドソックスと対等に渡り合ってきた。

 現在、ドジャースの編成本部長をするアンドリュー・フリードマン、レッドソックスのハイム・ブルームはともに、スターンバーグに採用され、キャリアを積み、成功した人物。最近も、新たにジェームス・クリックがアストロズのGMに抜てきされている。そのオーナーとキャンプ地でいろいろと話す機会があったのだが、「実は先のオフ、うちは日本人選手を2人獲得しようとしていた。一人はシンシナティ(レッズ)を選んだけどね」と筒香だけでなく、秋山翔吾も本気で獲得に動いていたことを明かした。

 レイズはFA選手に大金を投資することがまずない球団である。にもかかわらず2年1200万ドルの筒香だけでなく、3年2100万ドルでレッズに入った秋山翔吾にも、高額のオファーをしていたのだという。近年日本人野手はMLBで成功できていないのに、なぜこれだけの投資ができたのかと聞くと、こう説明してくれた。

「過去にうちは森慎二岩村明憲の2人と契約したことがあったが、今までは外国の選手獲得には尻込みしていた。国内の選手に比べて見る機会が限られていて、十分な情報を得にくいからだ。だがこの数年で状況はガラリと変わった。今は膨大なデータがあり、科学的に選手を追いかけられる。筒香、秋山もこのタイミングでメジャーに来ると数年前から分かっていたから、重点的にスカウトができた。おかげでデータが私たちに伝えるものを、人間の目で確認できた。今、私たちは自分たちのノウハウに大きな自信を持っている。うちのスタッフが良いと思うものを私は信用できる。筒香も秋山もMLBで活躍できるだろう。逆に活躍しなかったとしたら、私はすごく驚くね」。

 2008年のア・リーグ優勝決定シリーズはレイズとレッドソックスで戦い、3勝3敗で迎えた第7戦にレイズが3対1の逆転勝ち。9回表最後のアウトは二塁ゴロで岩村明憲がつかみ、そのまま二塁ベースを踏んだ。初のワールド・シリーズ出場が決まった。

「アキがボストン相手に最後のアウトとなるボールを掴んだ。私の人生の最高の瞬間。今でも、時々あのシーンをビデオで見返すんだ」とスターンバーグ。

 今年のレイズは筒香とともに12年ぶりのア・リーグ制覇、ワールド・シリーズ出場を目指す。スターンバーグの言う、データを軸にした科学的な分析が正しいことを、強く願うのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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