週刊ベースボールONLINE

週べ60周年記念

移籍男・高橋明が西鉄の開幕投手で勝利/週べ回顧

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

強心臓男・関本四十四


表紙は巨人王貞治



 今回は『1971年5月3日号』。定価は90円。

 前回は南海・杉浦忠の自伝『わが白球の軌跡…』から長嶋茂雄との逸話を引用したが、今回は同じ号から移籍をきっかけに、下積みを乗り越え、花開こうという選手を2人紹介する(というか、紹介する記事を紹介する)。

 4月10日、小倉球場での開幕戦。対東映戦で、西鉄の開幕投手に指名されたのが、高橋明だった。巨人で3度2ケタ勝利を挙げた男で、川上哲治監督が選手不足で苦しむ西鉄・稲尾和久にプレゼントした、とも言われた(交換トレードではあったが)。ただ、69年10勝も、前年は3勝2敗。一部からは「お払い箱の選手を押し付けられただけ」とも言われた。
 さらに、高橋が移籍をごねたとか、その際、「俺が西鉄に行けばエースだ」と言ったとか、そういうウワサも伝わり、当初は西鉄の選手から反感を持たれていたという。
 開幕投手に重きを置く稲尾和久監督も地元開幕戦を若きエース・東尾修で行くか、高橋か迷ったが、この開幕戦を2失点完投、その後、14日には南海相手に1対0の完封勝利もあり、しっかり結果で居場所をつくった(そのまま開幕5連勝)。

 高橋が出た巨人では、一人の投手が注目されていた。
 開幕2戦目でリリーフながら好投し、チーム初勝利を挙げた関本四十四である。
「四十四と書いて、しとし、と読むんです。オヤジが四十四のときの子どもというのが一発で分かりますね」
 と関本。新潟の糸魚川商工高から68年ドラフト10位で入団し、4年目。気が向かないと、ぷいとグラウンドから消えてしまう変わり者だったが、川上哲治監督が気に入った。
「これがうちの秘密兵器です。とにかくシュートがえげつない。平松(政次。大洋)以上です。すべてクセ球ばかりですし、今年、飛び出すことは間違いない」
 と大絶賛だ。一軍相手の打撃練習で投げ、得意のシュートでバットを折りまくったらしい。
 かなりの強心臓男で、新聞社のアンケートで「尊敬する選手」を聞かれ、
「一人もいません。いるとすれば僕自身です」
 と答え、これからについては、
「まあ、デビューはしたけど、先のことは分かりませんね。いつメッキがはがれるか分かりません」
 と話していた。

 では、また月曜日に。

<次回に続く>

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング