週刊ベースボールONLINE

プロ野球回顧録

V9以前、巨人の短命ユニフォーム

 

1960年に着用された巨人の“カラーテレビ用”ユニフォーム。写真はこの年、9勝を挙げて当時の通算最多勝利のプロ野球記録を310勝に伸ばした別所毅彦


 週刊ベースボール5月11日号(4月28日発売)では歴代のユニフォームを特集した。12球団と日本代表など、プロ野球草創期から現在までのユニフォームを編集部が厳選。特集内では全部で452種類(写真点数でいえばもっと)が登場する。1934年に日米野球を戦った日本代表の、シンプルながら重厚感あふれるユニフォームなど見どころは満載だが、ここでは1960年の1枚を取り上げたい。

 巨人が“カラーテレビ用”として新調した夏用ユニフォームだ。

 1960年9月10日にNHK東京放送局、NHK大阪放送局、日本テレビ、東京放送、朝日放送、読売テレビの6局が日本で初のカラー本放送を開始。これを前にカラーテレビの普及などの目的で6月から着用されたのが写真のモデルだ。ベージュがベース(ビジター用はグレー)で、胸の文字、背番号、ストッキング、帽子のつばに赤がふんだんに使用され、かなり派手な印象だが、1953年以降、現在まで継承される黒とオレンジのチームカラーが定着していたこともあり、選手や巨人OBからの評判も決して高くなかったそう。

 この年のオフに川上哲治が監督に就任すると、翌年からはV9時代に着用されたユニフォームにモデルチェンジとなったため、“カラーテレビ用”はわずか3カ月でその役目を終えている(1960年の巨人は2位)。近年ではイベント用ユニフォームなど、着用回数が少ないモデルもあるが、球団史上でも短命なユニフォームの1つとなってしまった。

ちなみに、期待されたカラーテレビの普及率は、カラー本放送開始時における東京23区で1%程度。日本でカラーテレビが普及するきっかけとなったのは1964年の東京オリンピックだった。

文=坂本 匠 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング