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週べ60周年記念

べらんめえ監督、ロッテ・大沢語録/週べ回顧

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

阪急を猛追しゲーム差なしに


表紙は巨人長嶋茂雄



 今回は『1971年8月23日号』。定価は100円。

 前回紹介した二代目親分、ロッテ大沢啓二監督だが、その契約が話題になっていた。なんと5年契約だったのだ。
 8月3日の会見で発表されたもので、年俸は840万円だった。
 中村長芳オーナーは「大沢君からロッテ王国を築きたい、という言葉があり、その言葉にほれ込んだ。これまでの監督の契約は2、3年というところだが、私はそれを破った」と話し、
 大沢監督もまた、
「オーナーの期待にそえるロッテ王国を築くために頑張る。そしてプロ野球として恥ずかしくないチームを育て上げたい。オリオンズに対する愛着は誰にも負けないつもりだ」
 と言った。

 会見後は大沢節がさく裂。
「俺は5年契約しても、自分に自信がなくなったら、あしたにでもきっぱりやめる。俺も若いころは横浜の進駐軍に潜り込んで、闇屋からニコヨンまでやってきた男だぜ」
 ニコヨンの意味は調べてほしい。平塚工高を中退したころの話だろうか。
 当時、ヤクザに絡まれていた石原裕次郎を助けたという逸話もあった。

 大沢語録が話題になっていたようなので、きょうはそれをいくつか紹介しておこう。
 当時、ロッテは首位阪急を猛追していた。

「俺は生まれたばかりのひよっこ監督よ。まだろくに毛も生えてないんだ。実際まだ一軍監督をしている気がしねえ。鈍感というか、ぼけてるというか、まるっきり責任感を感じないんだからな」
 7月25日、東映3連戦にいずれも逆転勝ちし、首位阪急に6ゲームとしたとき。

「歌の文句じゃねえが勝つと思うな、思えば負けよ。だから俺は今度阪急に4連勝するとは言わねえ。あくまでお客さんにいいプレーを見せたい。それが俺たちの本当の務めじゃねえのか。それで試合が終わって勝っていたら一番いい」
 7月29日、阪急に4ゲーム差とし、西宮で4連戦を迎える。

「絶対勝たねばという西本(幸雄)さんの談話を新聞で読んだとき、こっちのほうが有利だと思ったよ。戦う前から四分六分でうちは勝っていたんだな」
「西本野球? そりゃ先輩のやることは皆いいことだ。まあ勝ててよかったな。おめでとう。いけねえ、てめえで言ってやがらあ(笑)」
 7月30日、敵地での初戦に勝利し、3ゲーム差に。

「俺という男はだがな、試合になるとメシはたとえ米一粒でも食わんことにしておる。第一そんな暇はねえ。メシを食うと勘も鈍っちゃうからな」
 31日、ダブルヘッダーに連勝。差は1ゲームに。

「阪急に4連勝して、なんか気持ちが悪いみたいだ。監督が代わったからと言って、勘がいいとか采配がいいなんてことはねえよ。選手が勝手にやってくれてるだけさ。野球は人間同士の戦いだからファイトあるほうが勝つだけさ」
 1日も7対6で勝利し、ついにゲーム差なしの2位。9日間で8ゲームを縮めたことになる。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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