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打率、本塁打、盗塁、最多勝……最も少ない数字で決着がついたタイトル争いは?

 

今シーズンは新型コロナウイルスの影響で年間試合が120試合になると見込まれている。例年より公式戦の数が23試合少なくなるため、最多本塁打や最多安打、最多勝利といったタイトルは、少ない数字での決着になる可能性が高い。では、過去最も少ない数字で決着がついたのはいつだったのだろうか? 2リーグ制以降での「最も少ない数字で決着がついたタイトル争い」をまとめてみた。

打撃タイトルはどうなっている?



●首位打者=打率.307(1962年セ・リーグ)

 過去最も少ない数字で首位打者が決まったのは1962年。広島森永勝也が打率.307でタイトルに輝いたが、この年のセ・リーグで3割を打ったのは森永だけ。打率2位の大洋・近藤和彦も打率.293と、打者にとって厳しいシーズンだった。

●最多本塁打=22本(1957年、1960年セ・リーグ)

 最多本塁打争いで、過去最も少ない本数で決着がついたのは1957年と1960年のセ・リーグ。ともに本数は22本で、1957年は国鉄の佐藤孝夫と大洋の青田昇、1960年は大阪の藤本勝巳がタイトルを獲得している。1950年代半ばから1960年代前半にかけては特に本塁打が出にくかった時代で、最多本塁打のタイトルも20本台で決着がつくことが多かった。

●最多打点=69打点取(1956年セ・リーグ)

 過去最も少ない数字での最多打点は1956年セ・リーグの69打点。NPB黎明期に活躍した巨人の助っ人・宮本敏雄が獲得している。現在は100打点以上でないとまず獲得できないタイトルだが、前述のように当時は投高打低の時代。試合数も現在よりも10試合以上少なかったため、100打点を超えることの方が珍しかったのだ。

●最多安打=130安打(1951年パ・リーグ)

 最多安打は1994年から制定されたタイトルだが、制定以前に記録されたリーグ最多安打で「過去最も少なかった」のは1951年パ・リーグで130本。記録したのは南海が誇る「百万ドルの内野陣」の一人・木塚忠助だった。タイトル制定以降では、2005年の西武和田一浩の153本が最少だ。

●最多盗塁=24盗塁(1993年セ・リーグ)

 最多盗塁のタイトルは、1993年の24個が過去最少。巨人の緒方耕一と横浜の石井琢朗が同数で受賞している。ちなみに、1950年に2リーグ制となって以降、30盗塁未満でのタイトル獲得は全部で8回あるが、不思議なことにそのすべてがセ・リーグだ。

●最高出塁率=出塁率.395(1993年パ・リーグ、2011年セ・リーグ)

 現在のように、両リーグともに「最も出塁率が高い選手」を表彰するようになったのは1985年。それ以降のタイトル獲得者の中で、最も出塁率が低かったのが1993年と2011年。出塁率は.395で、1993年は西武の辻発彦、2011年は現在ロッテ鳥谷敬阪神時代に記録している。タイトル制定以前では、1976年の阪急・加藤秀司が記録した.376が最小となる。

過去最も少ない数字での投手タイトル獲得は?



●最優秀防御率=防御率3.27(2000年パ・リーグ)

 優秀な年ならば1点台で複数の選手が争うことになる最優秀防御率のタイトルだが、過去最も高い数字でのタイトル獲得となったのは2000年。この年はオリックスの戎信行が3.27と、1リーグ時代も含めて最も高い防御率でのタイトル獲得となった。ちなみに、翌年のパ・リーグもロッテのネイサン・ミンチーが3.26で受賞。3点台でのタイトル受賞はこの2例しかないレアケースだ。

●最多勝=13勝(1998年パ・リーグ、2014年セ・リーグ)

 過去最も少ない勝利数で最多勝が決まったのは1998年と2014年。ともに13勝で、1998年は西武の西口文也、ダイエーの武田一浩、ロッテの黒木知宏が受賞。2014年は阪神のランディ・メッセンジャー中日山井大介が同数でタイトルに輝いている。試合数が少ない今シーズンはさらに少ない数字で決着がつく可能性もある。

●最多奪三振=144奪三振(2000年パ・リーグ)

 最多奪三振はパ・リーグで1989年、セ・リーグで1991年から制定されたタイトル。制定以前では1952年に南海の柚木進が記録した104奪三振が最小での受賞だ。両リーグともに制定された1991年以降では、西武・松坂大輔が2000年にタイトルを獲得した際の144奪三振が最も少ない数字となる。これも今シーズンは最少記録更新の可能性があるだろう。

●最多セーブ=9セーブ(1977年セ・リーグ)

「セーブ」は1974年に公式記録として採用され、同時に「最多セーブ」のタイトルも制定。1974年から1975年は「セーブ数」のみを対象に受賞者を選んでいたが、1976年から2004年まではセーブと救援勝利を合計した「セーブポイント」でタイトル獲得者を選出していた。その後2005年からは再びセーブのみと、ややこしい経緯がある。

 今回は「セーブ数」のみで調べたところ、過去最少数での受賞は1977年。この年のタイトルを受賞したのは中日の鈴木孝政でセーブポイントは23だったが、純粋なセーブ数は「9」と少なかった。この年は他にも巨人の新浦寿夫と阪神の山本和行も9セーブを挙げているが、救援勝利数の差で鈴木がタイトルを獲得している。


●最優秀中継ぎ=13ホールド(2004年パ・リーグ)

「中継ぎ」の表彰が始まった1996年から2004年まで、セ・リーグはチームの貢献度を数字で表す「リリーフポイント」、パ・リーグはホールド数のみで受賞者を決めていた。その後、2005年からは両リーグともにホールドと救援勝利を合計した「ホールドポイント」で選出している。公式記録を調べたところ、過去最も少ないホールド数での受賞は2004年のパ・リーグで、日本ハムの建山義紀の13ホールドだった。また、「ホールドポイント」の最小受賞記録は、2008年のロッテ・川崎雄介が受賞した際の31HPとなっている。

●最優秀勝率=勝率.682(2018年セ・リーグ)

「最優秀勝率」の表彰は2002年からパ・リーグで始まり、2013年から両リーグで表彰されるようになった。両リーグでの表彰が始まってからは2018年の広島・大瀬良大地が記録した.682が最も低い数字での受賞。ただ、パ・リーグのみで表彰していた2002年に受賞した近鉄のジェレミー・パウエルは勝率.630と、大瀬良を大きく下回る数字での受賞だった。

 最も高い数字でのタイトル獲得はよく知られているが、「最も少ない数字」で決着したのはいつだったのか、成績はどうだったのかは意外と知らなかったという人も多いだろう。今年開催される予定の120試合は2リーグ制になって以降では最も少ない数字。果たしてこの試合数の少なさの影響で「最少数でのタイトル獲得記録」は更新されるのか、ぜひ注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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