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ベースボールゼミナール

走者二塁でセンター前。バックホームのカットに入るのは一塁手? リラックスして二塁手?/元中日・井端弘和に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は内野守備編。回答者は現役時代、7度、ゴールデン・グラブ賞に輝いた、元中日ほかの井端弘和氏だ。

Q.走者二塁での外野からのカットマンについてです。打球がセンター前に抜けてバックホームの場合、二遊間の選手がカバーするパターンと、一塁手が入るパターンの両方を目にしますが、どちらが良いのでしょうか。メリット、デメリット含めて教えてください。(大分県・22歳)


井端弘和氏


 チームにはそれぞれの方針があって、二遊間の選手が入るように指示される場合があるのかもしれませんが(※特に小学生、しかも低学年なら考えられるでしょうか。または一塁の選手が肩やヒジに故障を抱えている場合など)、セオリーといいますか、一般的にいって、センター前に打球が抜けて、バックホームのカットマンに入るのは一塁手でしよう。はじめから二遊間が入ることは、私が経験してきた野球ではあまり考えられません。

 センター前に打球が抜けると、そのどちらかは(抜けたときの位置関係に寄ります)ファーストのベースカバーに走り、もう片方はセカンドベースに入って、バッターランナーのケアをします。これが質問のケースの、二遊間の選手の一般的な動きでしょう。そして、一塁手がマウンド付近まで走っていき、センターからの返球(カット)に備えるのです。

 質問には「センター前に抜けた場合」と表現されていますが、この打球が左中間寄りや、右中間よりに弾んで、ホーム−セカンドベースを結ぶセンターラインよりもずれていた場合(記録はセンター前ヒットです)は臨機応変な対応が求められることもあります。とはいえ、一塁手はひとまずバックホームに備えてポジション取りします。このような打球は間を抜けた場合に備えて左中間寄りならば遊撃手が、右中間よりならば二塁手が反応して少し追いかけますから、打球を処理した中堅手がそこにいた二遊間の選手に投げてくる場合があります。稀なケースですが、その場合は来てしまったものは仕方がありませんから、返球を受けて、必要があればホームに返すことになると思います。

 このように、質問のケースでは「一塁手がカットに入るのが基本で、稀に二遊間も関わることがある」が正解でしょうか。

 なお、左中間、右中間を抜けた場合は、それぞれ遊撃手、二塁手が追いかけ、カットに入ることになります。ただ、走者二塁ですから、ほぼホームは間に合わないでしょう。バッターランナーを三塁に行かせないように頭を切り替えることになり、このときはカットに入らないほうがセカンドベースに入り、バッターランナーのケアを一塁手(間を抜けた瞬間にカットからケアに切り替えて、バッターランナーが一塁ベースを踏んだか確認)が行います。

●井端弘和(いばた・ひろかず)
1975年5月12日生まれ。神奈川県出身。堀越高から亜大を経て98年ドラフト5位で中日入団。14年に巨人へ移籍し、15年限りで現役引退。内野守備走塁コーチとなり、18年まで指導。侍ジャパンでも同職を務めている。現役生活18年の通算成績は1896試合出場、打率.281、56本塁打、410打点、149盗塁。

『週刊ベースボール』2020年6月8日号(5月27日発売)より

写真=BBM
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