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素行不良が話題も…巨人に「テスト入団」で最多勝に輝いた右腕は

 

「無名の助っ人」が救世主に


巨体から変化球を巧みに制球してゴロの山を築いたガルベス


「テスト入団で最多勝に輝いた外国人投手」と書くとサクセスストーリーに感じるが、世間一般では「悪童」のイメージが強いだろう。巨人で90年代後半にプレーしたバルビーノ・ガルベスだ。

 ガルベスはドミニカ共和国出身。1981年にドラフト外でドジャースと契約を結んだが、大半がマイナー生活だった。新たな環境を求めて94年に台湾・兄弟へ入団。登録名は巴比諾で1年目に16勝をマークし、2年目も10勝を挙げるが素行不良などのトラブルにより、シーズン途中で解雇される。この時から気性の荒い性格は垣間見せていた。

 1996年に巨人の春季キャンプにテスト生で受験。年俸2500万円で入団が決まったが、メディアの注目度は高くなかった。ところが、この「無名の助っ人」が巨人の救世主になる。同年は首位の広島に7月上旬時点で11.5ゲーム差まで離されたが、ここから猛追。斎藤雅樹とともに先発の柱として逆転優勝に大きく貢献したのがガルベスだった。16勝6敗の好成績で斎藤とともに最多勝を獲得。投球回数203回2/3、12完投はいずれもリーグ最多だった。

 身長180センチ、体重100キロを超える巨体から投げる直球は150キロを超えたが、意外にも技巧派だった。シュート、スライダー、チェンジアップを武器にゴロの山を築く投球スタイルで、スタミナも抜群。打撃も野手顔負けの飛距離で通算10本塁打をマークしている。満塁本塁打を2本打った外国人投手はNPB史上でガルベスのみだ。負けん気の強さで乱闘劇も。96年5月1日の対中日戦(ナゴヤ球場)でガルベスの投球が山崎武司の頭部の上を通過。のけぞってよけた山崎が激怒してマウンドへ詰め寄ると、マウンド上で殴り合いとなり、両選手が退場処分を受けた。この乱闘劇がきっかけになったかは定かでないが、ガルベスは日本酪農乳業協会のCMに出演。「カルシウムブソク、シテイマセンカ?」という日本語のセリフで人気を呼んだ。

 来日2年目の97年もリーグ最多の8完投で12勝をマーク。98年も7月終了時点でリーグトップとなる9勝と好調だったが、「許されない暴挙」で台無しにしてしまう。7月31日の阪神戦(甲子園)。大豊泰昭に2打席連続ホームランを打たれるなど5回まで5失点の乱調で、橘高淳球審の判定に明らかにいら立っていた。そして6回。先頭打者・坪井智哉にカウント2-1から投げ込んだ内角への直球がボールと判定され、露骨に不服そうな態度をとった。次の投球で坪井に本塁打を浴びると、イライラが限界に達した。

 長嶋茂雄が投手交代を告げるが、ガルベスは橘高球審に厳しい口調でクレームをつける。川相昌弘や他の野手になだめられるが一向に収まらない。三塁ベンチに戻りかけたが、突然振り返り、審判団に向けてボールを投げつけた。ボールは誰にも当たらなかったが、橘高球審も激高してガルベスのもとへ駆け寄り、乱闘騒ぎに。止めに入った吉原孝介の顔面にガルベスのヒジが当たり、口の中を切って出血していた。退場を宣告されたが、当然それだけの処分は収まらない。翌8月1日、セントラル・リーグはガルベスに対し、「1998年シーズン残りの出場停止」を下し、巨人も無期限出場停止の処分を下した。

再契約も年々成績低下


審判にボールを投げつけたガルベスを止める巨人ナイン


 同年オフ。退団もささやかれたが、巨人と再契約を結び残留が決定した。この再契約にセ・リーグの審判団が連盟に対して抗議文を送っている。巨人でのプレーが決まったガルベスだったがその後は精彩を欠いた。走者が出るとイライラしてリズムを崩す。フィールディングにも難があったためにもったいない失点も多かった。投球のテンポが悪いのが起因したのか打線の援護に恵まれず、99年は9勝12敗と負け越した。00年は開幕から6連敗を喫して二軍降格。一軍に上がれない不満から代理人を通じて球団に自由契約を要求する騒動を起こした。この要求を取り下げたが同年限りで退団した。

 ガルベスはその後、パイレーツのマイナーでプレーしたが突然行方不明になるなど相変わらずのお騒がせぶりで退団。01年は韓国・サムスンで5月から加入したが、8月下旬に母親の看病を理由に突然帰国した。球団の6度の復帰要請に首をタテに振らず1カ月半戦線離脱する。10勝4敗の好成績だったが、素行面を問題視されて同年限りで退団した。

 米国、台湾、日本、韓国……世界各国で「トラブルメーカー」の烙印を押された選手は珍しい。巨人に在籍5年間で通算106試合登板46勝43敗、防御率3.31と投手としての能力は高かっただけに、自身の感情を制御できればもっと活躍できたかもしれない。

写真=BBM

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