週刊ベースボールONLINE

社会人野球リポート

「甘さがあった」ドラフト指名漏れの悔しさをバネにプロ入りへ再挑戦する152キロ右腕・森井絃斗

 

黒獅子旗奪取への思い


セガサミーの152キロ右腕・森井絃斗は、昨年のドラフトでの指名漏れの悔しさをバネに、練習を重ねている


 高卒入社4年目、相当な覚悟である。

「昨年はベンチで都市対抗4強(準決勝敗退)を経験して、優勝したい思いが強くなりました」

 セガサミーの152キロ右腕・森井絃斗(板野高)は、背筋を伸ばして決意を述べた。

 なぜ、そこまでの思いになっているのか?

 理由は2つある。

 東京第3代表で都市対抗出場に貢献したものの、その後、右肩のコンディション不良により、11月末から12月上旬にかけての本大会では、先発1試合(NTT西日本との準々決勝で3回1失点)のみの登板に終わっている。チームが4強へ進出する中で、本来の投球ができない無念さが残ったという。

 もう一つは、自身の進路だ。昨年は高卒選手の解禁となる社会人3年目だったが、10月26日のドラフト会議では指名漏れ。当日は記者会見場が用意され、控え室で待機していた。

「かかるんだろうな? という軽い気持ちでいました……。5位が終わっても呼ばれず、これはないな、と。そういう甘さのせいで、行けなかったのだと思います。今年は自分自身により厳しく、取り組んでいます」

 都市対抗後、今年1月にかけた約2カ月を、体づくりの期間に充てた。投げる動作に必要な筋肉を鍛え、長いイニングでも強いボールが投げられる「持久力」を構築している。昨年のアベレージ144〜145キロから、148〜149キロへのアップを目指す。

「社会人に入って以降、球速だけ抑えられないことは分かりましたが、スピードへの欲を捨てたら終わり。平均球速が上がれば、自然とマックス(最速)の数字も上がると思います」

 2月以降はブルペン入りしており、実戦へ向けて、ピッチを上げている。

「今年は主戦で(周囲から)『一人で回ったな!』と思われるほど、大会でフル回転したいと思います」

 就任2年目の西田真二監督は高卒入社5年目右腕・草海光貴(上田西高)と並ぶ先発の軸と考えており、森井への期待は大きい。

 ドラフト指名を受けた上で、都市対抗ではチーム悲願の黒獅子旗奪取を遂げ、会社に恩返しする。そして、笑って、次のステージへと向かうのが理想だ。もう、悔しい思いはしない。森井の社会人4年目の挑戦が続いていく。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング