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プロ野球回顧録

2年目途中に南海から広島へトレード移籍。低い期待値から正捕手に上り詰めた西山秀二【プロ野球回顧録】

 

先輩たちに育てられて


先輩投手陣に鍛えられ、クレバーなリードを見せた西山


 1985年秋、ドラフト4位で南海から指名を受けた西山秀二。2年目途中にトレードでの広島移籍が決まったが、セ・リーグに行けることがうれしかったという。

「正直、南海は待遇面などで、プロのようでプロのチームじゃないような感じでしたから」

 89年に一軍初出場。ベテラン捕手・達川光男の後釜探しの一環として獲得された西山だったが、さほど期待されていたわけではない。91年には大学No.1捕手の法大・瀬戸輝信がドライチで入団。チャンスは消えたかに思えたが、西山は同年、しぶとい打撃とともに外野や三塁など、捕手以外のポジションを務めるなどの器用さでアピール。さらに本業の捕手でもキャッチングやスローイングの正確さなどが光った。そして、徐々に正捕手の座をつかんでいく。

 リード面においても、もちろん最初からうまくいったわけではない。北別府学には、サインが合うまで首を振られた。大野豊からは「好きにリードしてみろ」と言われ、メッタ打ちされたこともあった。しかし、「俺の球に力がなかったり、甘く入っただけだよ」と言ってくれた。

 どうにかしなければと達川に教えを請うと、「ニシ、お前が思ったサインとは反対のボールを投げさせろ」。ストライクで勝負したがる西山に対し、大野のようなキレで勝負するタイプは、ボール球こそ打者が食いつく、というアドバイスだった。そうしたベテランたちに囲まれていた若手時代の環境も、西山という捕手を大きく成長させた。

 96年には打撃で魅せた。独特の一本足打法でタイミングを取り、安打を量産。リーグ8位の打率.314。94年に続いてのベストナイン、ゴールデン・グラブ賞も獲得している。

 若手の台頭もあり、出場機会も徐々に減り始めた2004年オフにコーチ打診を受けるも現役続行を希望したため自由契約に。巨人へと移籍したが、05年限りで現役を引退した。

写真=BBM
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