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コロナ禍の中、3月19日に開幕するセンバツ。例年と何が違うのか?

 

チーム関係者にPCR検査を実施


センバツ高校野球は大会前と大会中にチーム関係者(大会関係者は大会前のみ)を対象としたPCR検査が実施される(写真は2019年の開会式)


 3月19日に阪神甲子園球場で開幕するセンバツ高校野球。同3日に第3回運営委員会が開かれ、大会の概要が固まった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、昨年は史上初の中止(太平洋戦争の影響で1942〜46年は中断)。2年ぶりの開催へ向けて準備が進められているが、例年の大会とは何が違うのか。

 昨年8月、センバツ出場32校を招待した甲子園交流試合が開催。各校1試合、計16試合が、6日間にわたって実施された。無事に全試合を消化することができたことは、今春のセンバツに「実体験」としてつながった。

 今回は13日間(準々決勝、準決勝翌日の休養日を含む)で、通常のトーナメント(計31試合)で開催。大会全体の運用(移動、宿舎での生活を含む)については、昨夏の甲子園交流試合における感染予防対策が引き続き、遵守することが求められている。試合中の変更点で言えば、出場選手以外は特別な事情がない限りは、マスクを着用することが呼びかけられている(ベースコーチを除く)。

 また、昨夏と大きく変わるのは2点である。

 32校のチーム関係者(例年の35人から27人で計864人)を対象としたPCR検査が実施される。1回戦の前半日程と後半日程に分けた大会前検査と、1回戦突破チームは原則、試合翌日に大会中検査を行う(大会関係者216人は大会前検査のみ)。なお、感染者が判明した場合は、陽性者以外の関係者による再検査を行い、緊急対策本部が情報収集した上で協議、検討を重ね、大会参加の可否を決定する。

補欠校の心構え


 出場校の大会不参加の際に浮上してくるのが、「補欠校」である。1月29日のセンバツ選考委員会では10地区、21世紀枠で各2校ずつ、補欠校を選出している(左が補欠1位校)。2000年に敦賀気比、06年に駒大苫小牧が不祥事により出場辞退したケースはあるが、今回とは事情が大きく異なる。とはいえ、下記の22校は不測の事態に備えて、心構えをしておく必要はありそうだ。

【補欠校】
▽北海道  旭川実、知内
▽東北   花巻東、日大山形
▽関東   国学院栃木、鎌倉学園
▽東京   日大三、二松学舎大付
▽東海   三重、岐阜第一
▽北信越  星稜、関根学園
▽近畿   智弁和歌山、龍谷大平安
▽中国   米子東、桜ケ丘
▽四国   小松、鳴門
▽九州   神村学園、延岡学園
▽21世紀枠 富山北部・水橋、知内

 なお、出場校から感染者が出た段階で、当該地区の補欠1位校に対して、PCR検査を実施。万が一の事態に備えるという。補欠校の効力は大会前検査が終了し、大会開幕まで。開幕以降に出場校が参加できなくなった場合は、相手校の「不戦勝」となる。例えば、1回戦突破校が2回戦で不参加になっても、補欠校が代わりに出場することはない。

 昨年末のバスケット(ウインターカップ)、バレーボール(春高バレー)の高校全国大会においては棄権(出場辞退)する学校が出た。一方で、ラグビー、サッカーは厳重な感染予防対策により、無事に大会を終えた。屋外競技と屋内競技に差があるのか――。しかし、昨年12月の全国大学ラグビーでは同大が棄権した例もあるので、気の緩みは許されない。

ブラバン応援は禁止


 大きな変更点はもう一つ。昨夏の甲子園交流試合は一部関係者のみの観戦(学校関係者、家族、部員、スカウトら)が許されたが、今回は「有観客」での開催を目指している。政府や自治体が示す大規模イベントの参加人数制限を参考に、観客数が決定される。甲子園の華であるアルプス席は学校関係者のみとなり、ブラバン応援は禁止で、大声を発することはできない。つまり、拍手と声援が基本。一般入場者も大声を出しての声援、合唱は控えなければならない。選手に全力プレーできる舞台を提供するためにも、感染予防対策を徹底し、マナーとモラルを守る観戦が求められる。

 センバツ主催者(毎日新聞社、日本高野連)が打ち出した新型コロナウイルス感染防止対策の基本方針は「部員の安全、安心」。あらゆる事例を想定して、入念な準備を進めている。仮に感染者が出た場合は二次感染、三次感染を防止するための適切な対策を取るという。大会の主役は高校球児。1回戦から決勝まで31試合、無事に完走することを願うばかりだ。

文=岡本朋祐 写真=早浪章弘
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