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【背番号物語】巨人「#49」“最強の助っ人”クロマティの背番号は縁起が悪いラッキーナンバー?

 

助っ人としてはクロマティが第1号


巨人歴代最強助っ人のクロマティは背番号「49」を着けていた


 背番号の世界に限らず、日本では縁起が悪い数字といわれて避けられる傾向がある「4」と「9」だが、これらが並んだ「49」も同様に人気がない。ただ、それも日本語の読みが要因であり、母語が日本語でなければ気にならないものだ。一転、背番号の世界では、特に昭和から平成にかけての時代を知る巨人ファンにとっては、縁起が悪い背番号どころか、ラッキーナンバーといえるのではないだろうか。2020年はセットアッパーとして機能したチアゴ・ビエイラが背負っている巨人の「49」は、ほぼ助っ人の系譜といえるナンバー。長い巨人の歴史で“最強”といわれるクロマティの背番号だ。

 1984年に来日したクロマティ。当時の巨人はメジャーの大物が入団することが続いていて、80年代の前半はスイッチヒッターのロイ・ホワイトレジー・スミスがインパクトを残し、貫禄も申し分なかったものの、彼らは歴戦のベテラン、言い換えれば全盛期がを過ぎてからの来日だった。だが、クロマティは現役バリバリ。年齢も若く、そのハッスルプレーは魅力的に映った。極端なクラウチングの打撃フォームによって「49」も独特の映像としてファンの目に焼きつけられ、当時はテレビ中継の黄金期だったこともあり、その形だけを真似した野球少年も空き地に続出。メジャーでは中距離ヒッターだったクロマティも狭い日本の球場では長距離砲で、来日1年目から3年連続で30本塁打を超える。

 引退を公言して臨んだ89年は長打を狙わず、プロ野球で初めて打率4割を超えたままシーズン規定打席に到達。最終的には打率.378で閉幕を迎えたが、それでもダントツの首位打者だった。客席に向かっての万歳三唱や、出塁すると自分の頭を指さして「アタマの違いサ」と言わんばかりのパフォーマンスは時に他チームのナインやファンからは眉をひそめられたものの、巨人ファンにとってはクロマティの活躍は痛快であり、逆にアンチからはクロマティの「49」は“縁起の悪いナンバー”に見えたことだろう。とはいえ、86年には頭部死球の翌日に代打で満塁本塁打、ラストイヤーの90年には敬遠球をサヨナラ打にするなど、パフォーマンスだけを先行させた男ではなかったことも事実だ。

 一方、日本人の選手から避けられそうな「49」だが、巨人は助っ人を獲得しなかった時期が長かったこともあり、助っ人で「49」を着けたのはクロマティが最初。以降、現役のビエイラまで、打者では92年シーズン途中の来日ながら25本塁打を放ったロイド・モスビー、投手では2009年にヤクルトから移籍してきて15勝を挙げたディッキー・ゴンザレスら16人の助っ人がリレーしているが、初めて巨人の「49」が登場したのは2リーグ制となってからの52年で、クロマティとは似ても似つかない系譜の背番号だった。

最長はメジャー帰りの左腕


メッツから巨人に復帰して背番号「49」を着けた柏田


 1954年に2代目となった土屋正孝はプロ1年目から3年間「49」で過ごし、堅守の二塁手としてブレークして57年からは「25」に。V9の幕が開けた65年に入団して「49」の6代目となったのが捕手の吉田孝司で、69年に「9」となり、最下位からのリーグ優勝となった76年は司令塔としてチームに貢献している。吉田の後継者となった杉山茂も捕手。杉山は82年、吉田は84年まで、それぞれ長くプレーして、巨人ひと筋を貫いている。

 クロマティの前任は右腕の香坂英典で、プロ4年目の83年に「49(よく)なる」と読んで「31」から変更して初勝利を挙げるも、新たに「40」を着けた翌84年がラストイヤーとなった。1年だけ着けた日本人の選手には、21世紀に西武から来た外野手の小関竜也もいる。

 投手では、20世紀から21世紀にかけて「49」を背負っていたのが左腕の柏田貴史だ。ドラフト外で90年に巨人へ入団して「84」、92年からは「67」を着けていたが、97年にメッツへ移籍。翌98年に復帰して背負ったのが「49」だった。復帰2年目の99年からは主にセットアッパーとして2年連続で50試合登板を超える。柏田は「49」のまま2005年までプレー。着けた期間ではクロマティの7年間を1年だけ上回る最長の8年だ。

【巨人】主な背番号49の選手
吉田孝司(1965〜68)
クロマティ(1984〜90)
柏田貴史(1998〜2005)
ディッキー・ゴンザレス(2009〜12)
チアゴ・ビエイラ(2020〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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