「恵みの雨」となったチームも
大会第9日(3月28日)は雨天中止。第1試合の開始予定の2時間前(6時30分)に発表された
3月28日に予定されていた準々決勝4試合は、朝6時30分に大会本部から中止が発表された。なお、大会要項により、準決勝まで2日以上日程が延長されたため、準決勝翌日の休養日が消滅。明日29日が準々決勝、30日が休養日、31日が準決勝、4月1日が決勝という日程が組まれる。
さて、今後の大会の行方を左右する意味で、クローズアップされるのが「球数制限」だ。選手の健康管理のため、昨年のセンバツ大会(中止)から実施された(3年間の試行期間内にデータを集めて再検討するが、試行期間中も制限を超えた投球は認められない)。
大会規約にはこうある。抜粋する。
「1人の投手が投球できる総数は1週間500球以内とする。試合が降雨、暗黒などで続行不可能となりノーゲームとなった試合も500球の制限に投球数としてカウントする。1週間で500球に達した場合、投手は500球に到達した打者の打撃完了まで投球することができる(次打者で投手交代)。降板した投手は、以降当該試合では投球できない」
8強進出校のうち「500球の壁」に直面しそうなのが、中京大中京・
畔柳亨丞(3年)である。同校は出場32校中、1回戦最後の登場(3月25日)だった。畔柳は専大松戸(千葉)との1回戦で131球完封、中1日で迎えた常総学院(茨城)との2回戦(27日)では7回で110球を投じた。2試合で241球。つまり、準々決勝、準々決勝と準決勝の2試合(7日間で4試合)で投げられるのは259球。決勝へ勝ち上がった場合は、1回戦の131球は対象外だが、準々決勝、準決勝、決勝の3試合で計390球となる。1試合平均での球数は130球となるため、1回戦、2回戦のようなペースだと「500球」の対象になる可能性がある。
大会第5日(3月24日)に登場した東海大菅生にとっては「恵みの雨」となった。当初の日程では1回戦から準決勝まで7日間で4試合だったが、28日の雨天中止を受けて、準決勝へ進出した場合は、1回戦はカウントされない。2試合で先発した
鈴木泰成(2年)は計159球(76球、83球)。当初は準々決勝、準々決勝と準決勝で341球だった。中止を受けて準々決勝は341球のままだが、1回戦(76球)は対象外となり、準決勝、準決勝と決勝で417球が投球可能になる。28日の中止は、大きな「1日」となったわけだ。
大会第4日(第3日は雨天順延)までに1回戦が組まれた仙台育英、天理、東海大相模、福岡大大濠、明豊、智弁学園は事実上、球数制限の影響を受けることはほぼないと言える。
なお、準々決勝進出校の主戦投手で最も投げているのは天理・
達孝太(3年)だ。宮崎商との1回戦は161球で1失点完投、健大高崎(群馬)との2回戦は134球で完封している(計295球)。準々決勝は1回戦から1週間以上が経過しており、準々決勝と準決勝で計366球を投げられる。また、決勝進出した場合は、2回戦はカウントされないため、残り3試合で500球を投げることができる。
球数制限は優勝争いにどう響くのか。センバツよりも、試合数が多くなる夏の選手権のほうがベンチワークは慌ただしくなりそうだ。
文=岡本朋祐 写真=高原由佳