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1リーグ制は本当にあり得るのか。またも不発に終わった1リーグ制案/週べ回顧1972年編

 

 3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

賛同したのはヤクルト


中村オーナー。写真は75年のもので、このときはもうロッテのオーナーではない


 今回は『1972年10月9日号』。定価は120円。

 球界の歴史に幾度となく現れては消える「1リーグ制案」。
 岡野パ・リーグ会長は「私の知ってるだけでも過去4度ある」と話していたが、1972年9月21日、パ・リーグのオーナー懇談会でも論議が行われた。
 提案者はロッテの中村長芳オーナーだったが、内容をいくら説明しても、他のオーナーは「それは無理」と首を振る連続だったようだ。
 ただ、実際には水面下でかなり現実的に動きながら直前でセ球団に対する根回しに失敗。この日は「やっぱりやりません」をアピールする場になっていた、というのが事実らしい。

 きっかけは西鉄をはじめとするパ球団の経営難。これに対しヤクルトの松園オーナーが「日本の現状では2リーグ12球団は多すぎるのではないか」と4月のオーナー会議の時点で1リーグ制を提案していた。
 同調したのが中村オーナーで7月パ懇親会では、同オーナーがその可能性を調査するという結論になっていた。

 特に経営が厳しいのが西鉄だったので、九州を事業の発祥地とする松園オーナーが、ならばとヤクルトと西鉄の合併案を唱え、中村オーナーは「ロッテと大洋と合併もありだ」と発言していた。
 ただ、松園オーナーは10球団でも多いと考え、「8球団1リーグこそ理想の形」と語り、ほかの合併案も浮上していた。

 しかしこれに対しセの2球団から猛烈な反対があって、いわば立ち往生。もはやこれ以上は難しいとなったようだ。21日の懇談会では、
「1リーグ制8球団なら考えなければならないという見地から中村オーナーに調査をお願いしていた。しかし実現が難しいという結論が出た以上、現在の2リーグ制で今後の振興策を考えようということです」(南海・川勝オーナー)
 という意見の流れとなった。中村オーナーは、
「実現できなかったのはいつくかのネックがあったから。残念だ」
 とだけ語った。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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