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神奈川県大会4回戦で敗退も 強烈なインパクトを残した横須賀学院“小兵のトップバッター”

 

「自分が流れを変えよう、と」


横須賀学院高の主将・横田丈(3年)は向上高との神奈川県大会4回戦で4安打。チームは2対6で惜敗も、持てる力を出し切った


 164センチのファイターが好きな選手はソフトバンク柳田悠岐である。

「自分が持っていない、フルスイングにあこがれます。小技だけではなくて、柳田選手の『積極性』が、結果に出たと思います」

 横須賀学院高の不動の一番・横田丈(3年)は、向上高との神奈川県大会4回戦(4月20日)で5打数4安打の大暴れ。チームは2対6で惜敗したものの、小兵のトップバッターが強烈なインパクトを残した。

 最も光ったのは3点ビハインドで迎えた5回表の攻撃である。横田は先頭打者で右中間三塁打を放ち、次打者はボテボテの捕ゴロ。相手捕手が一塁へ送球した瞬間に、三走・横田は果敢にスタート。50メートル走6秒3の俊足を飛ばし、本塁生還を決めている。

「点差があったので、自分が流れを変えよう、と。攻めの姿勢を出すことができました」

 横田は横須賀学院高をけん引する主将である。1年夏から背番号19でベンチ入りし、4回戦に進出した昨夏の独自大会でも唯一の2年生レギュラーで、11打数6安打と結果を残した。同校の河合洸貴監督が「心強く、頼もしい存在」と全幅の信頼を寄せるチームリーダーだ。

 体全体でナインを鼓舞。プレーボール前から異彩を放っていた。試合前の整列前は「キビキビ行くぞ!」と盛り上げ、センターの守備に入るたびに「元気、出していくぞ!」とベンチを、全力疾走で飛び出す。惜しくも敗退した幕切れ後の整列では、25人のベンチ入りメンバーに対して「最後までしっかりな!」と伝える。全力を出し切った試合後はすっかり、声がかすれている。「自分はどんな状況で声を出すのが、最低限の仕事なので」。

 試合後、4安打について聞いても「自分は打撃の選手ではありません。個人のことよりもチームが勝たないと……。日ごろの練習からすべての面でレベルアップに努めていきたい」と、自身については多くを語らない。

 今春は1回戦から3試合を勝ち上がり、16強進出。横須賀学院高にとって、夏の第3シードは24年ぶりである。

「まだ、(学校として)進出したことがないベスト8のチャンスがあったので、悔しいです。夏の目標はベスト8です。ただ、そこに甘えることなく、高校球児の夢である甲子園を目指していきます」

 主将・横田は最後の夏が終わるまで、チームのために動き、腹の底から声を出し続ける。

文=岡本朋祐 写真=菅原淳
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