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MAX145キロを誇る投手のチェンジアップを打つコツは?【前編】/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.大学2年生のシーズンをまもなく迎える者です。ストレートのMAXが145キロでチェンジアップを決め球にするピッチャーのいるチームがあり、対応に苦しんでいます。狙い球を絞って打席には入りますが、やはりいつかはこのボールを攻略しないと、とも考えています。何か良い対応方法はないでしょうか。そもそも、チェンジアップを打つコツとはなんでしょう。(北海道・19歳)


4月1日広島戦(マツダ広島)の6回、中村祐太のチェンジアップを右翼席に叩き込んだ阪神佐藤輝明


A.ゾーンを上げてストレート含め低めのボールを捨てる。ポイントを後ろにし、センターから逆方向を意識する

 非常に難しい質問です。質問の中身から察するに、大学が所属するリーグのライバルチームにこのピッチャーがいるわけですから、春と秋のリーグで必ず対戦することになるのでしょう。確かに決め球を打つにしろ、別の攻略方法を考えるにしろ、「対策を練らなければいけない」という気持ちは、私も大学野球を経験していますから、よく理解できます。

 チェンジアップに対する基本的な考え方から解説すると、MAX145キロのストレートに対し、チェンジアップの球速差(緩急差)が大きければ大きいほど、“ストレート待ちの変化球(チェンジアップ)対応”は難しくなります。

 チェンジアップを決め球とするピッチャーへの一般的な対応方法としては、ゾーンを上げて低めに変化していくボールに手を出さないこと。低めのボールゾーンに逃げていくから対応が難しいのであって、ストレートも含めて低めは捨てる勇気が必要だと思います。また、打席ではセンターから逆方向の意識を持つこと。「ストレートを引っ張って打ってやろう」と考えていると、チェンジアップには体が開き、泳がされて空振りか、当たってもバットの先端になってしまいます。ポイントをやや後ろに持ってきて、見極めながら逆方向に打つ意識をしておくことが必要だと思います。なお、引き付けておいて結果的にチェンジアップを引っ張る形になるのはOKです。

 アプローチ方法の1つとしては、まず、このピッチャーの配球パターン、攻め方を知ることが重要だと思います。一番の武器がチェンジアップで、質問の方は「決め球」という表現をしていますが、このチェンジアップをどこで投げてきているのか。いわゆる勝負球、2ストライクと追い込んだ後、必ず投げてくるのか、絶対にストライクが欲しい「ここ」というタイミングで投げてくるのか。

 次に、腕の振り。ストレートの腕の振りと、チェンジアップの腕の振りがどうなのか、観察することも大切です。ピッチャーサイドから見る悪い例として、緩いボールを投げるときに腕の振りが緩む傾向にあり、これに当てはまらないか。これならば対処はしやすいですが、逆に、緩いボールを投げるとき、「ストレート以上に強く腕を振るように」と注意する指導方法があり、このようなピッチャーは本当に厄介で私も苦しめられました。

<「後編」に続く>

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

『週刊ベースボール』2021年4月5日号(3月24日発売)より

写真=BBM
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