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再び無念のマウンドとなった横浜高エース左腕。「後悔してからでは遅い」。夏へ“2度の屈辱”をどう生かすか

 

自らのさい配を責めた指揮官


横浜高の148キロ左腕・金井慎之介(3年)は桐光学園高との神奈川県大会準決勝で先発も、3回途中5失点。本来の力を発揮することができなかった


 横浜高は神奈川県大会準決勝(対桐光学園高、5月3日)で8回コールド敗退(1対8)を喫した。エース左腕・金井慎之介(3年)が今大会初登板も3回途中5失点と、試合をつくることができなかった。

 リベンジの舞台のはずだった。昨秋は東海大相模高との準決勝で先発も、一死も取れずに降板している。チームも1対9で7回コールド敗退。大会前に左ヒジの違和感を訴え、万全ではない中での登板だった。敗退後は治療に専念。3月から投げ始め、日課としていたシャドーピッチングで一つずつ、フォームを固めていったという。迎えた春の県大会は、2回戦から準々決勝まで4試合は左翼手として出場。クリーンアップを任され、ポイントゲッターとして打線をけん引した。チームとしての課題であった「金井以外で勝つ」という、投手層のレベルアップを実現させていた。

 就任2年目の横浜高・村田浩明監督は起用の「タイミング」を探っていたという。

「この県大会の中で、金井をどこで復活させるか。(金井が)エースとして投げてくれないと、横浜の夏はない。私自身、選手全員もそう思っている」

 昨秋、無念のマウンドとなった準決勝という、同じステージでチャンスを与えた。舞台は神奈川のメーン会場・横浜スタジアムである。

「最高の舞台、最高の準備をして、自信を持って送り出したが……。金井を勝たせよう! という考えが、焦りにつながった。もう少し、公式戦で投げさせておけば……。私の全責任です。(敗退は)金井のせいではない」と、指揮官は自らのさい配を責めた。

 金井の復活を願っていたのは、ナインも一緒だ。主将・安達大和中堅手(3年)は言う。

「昨秋の新チーム結成から、自分たちのチームは『金井のチーム』と言われている。野手としては悔しいですが、金井は挫折を経験して、この冬場も頑張っている姿を見てきました。率先して走って、投手陣を引っ張っていた。だからこそ、野手としては援護してやりたい気持ちが強かったです」

最後の夏まで約2カ月


 野球小僧。金井を見た関係者は、口をそろえて言う。何事にも全力。野手として出場していた際には、毎試合、泥んこになって球を追いかけているのが印象的だった。もちろん、練習から積み重ねてきたものであって、身近にいるチームメートは日々の取り組みをずっと見てきた。心の底からバックアップしたいと思わせる、実直な性格なのだ。

 金井は言う。

「エースと言われるが、形だけ。内容には程遠い。『自分が投げる試合を見たい』と言ってくれたのに、その思いをムダにしてしまった。夏は後悔してからでは遅い。この試合を教訓に、夏に大きくなって戻ってきたいです」

 村田監督は力を込める。

「横浜の背番号1を着けている以上、乗り越えていかいないといけない。金井を復活させる――。夏まで時間は少ないですが、しっかりと向き合って、変わると信じて、導いていくしかありません」

 昨秋と今春、準決勝で味わった2度の屈辱をどう生かしていくのか。夏の県大会は7月10日に開幕する。自身初の甲子園出場をかけた最後の夏まで約2カ月。支えてくれる仲間のためにも、先頭に立って汗を流していく。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎

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