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【MLB】ワクチン接種が進むも、チーム成績に直結する新型コロナ感染

 

どんな優秀な選手でも、練習に制限がかかると試合で十分なパフォーマンスを発揮できない。前田[写真中央]もその一人で不本意な内容で天を仰いだ


 ツインズの前田健太投手が今季4度目の先発をした4月21日のアスレチックス戦。試合前にJT.リドル遊撃手が新型コロナウイルスに感染して負傷者リスト入りと発表があった。

 8日間で5人目である。ロッコ・バルデリ監督は「できることはあまりない。いかにチームを健康に保つかMLBと協力しベストの選択をするしかない」と頭を抱えていた。前田は「自分自身も感染のリスクがあったが、陰性の結果で試合ができたのは良かった。ただ(試合が延期になった)ロサンゼルスにいる間は、ホテルにいないといけなかった。登板の2、3日前にまったく練習しないというのはありえない。難しい調整だった」と明かした。

 3回を投げ3本塁打を含む8安打7失点、ツインズ移籍後、最悪の登板内容だった。ツインズは8日に、TIER1と呼ばれる選手、コーチ、スタッフの90人のグループのうち82パーセントがワクチンを接種した。ただし接種しても免疫を得るまで2週間かかる。

 13日夜に接種しなかったアンドレルトン・シモンズが感染と分かり、16日夜は接種していたカイル・ガーリックが陽性。さらにマックス・ケプラー外野手が陽性、カレブ・シブラー投手は濃厚接触者で負傷者リスト入りと発表されていた。

 ちなみに感染の中に変異種も一つ含まれているという。ツインズはこの8日間、混乱の中で3試合が延期され、ダブルヘッダーが2度、1勝6敗と負けが混んだ。4月、こういった事態を招いたのはツインズだけではない。4月1日の開幕から新型コロナ禍で4試合が延期されたナショナルズは4人に陽性が出て、5人が濃厚接触者で負傷者リスト入り。6日に試合が始まったが1勝4敗のスタートだった。

 4月15日、新型コロナ禍でホセ・アルトゥーベはじめ5人が負傷者リスト入りとなったアストロズも以後1勝4敗(4月21日時点)。そして新たにフィリーズも昨季ソフトバンクに在籍していた左腕のマット・ムーア含め3人の選手と5人のコーチが19日にチームを離れ、以後1勝2敗である。

 感染者が出ると、濃厚接触者も調べなければならない。そして少なくとも感染者は10日間、濃厚接触者は1週間の隔離となる。代替選手を使えるとはいえ、新型コロナ感染がチーム成績に直結している。MLBにとってプラスなのは、アメリカが日本と違いワクチン接種が進んでいること。MLBは各球団TIER1のメンバーの85パーセントの接種が済めば、感染予防のプロトコルを緩めると発表している。

 つまりマスクなしでダグアウトにいても良い、遠征先でレストランに行っても良いなどだ。そして公式発表はないのだが、マリナーズのスコット・サービス監督によると約10チームが85パーセントを超えているそうだ。

 一方で接種が進まないチームもある。マリナーズは20日に行ったが、否定的な者が少なからずいたそうだ。サービス監督は「接種は個々の判断だが、安全面など正しく事実を伝える必要がある」と説明会などを開いている。とはいえ、変異種に効くかどうかなど、心配は多い。

 ちなみに20年シーズンに比べると感染者数そのものは少ない。キャンプを含めた最初の2カ月間、テスト回数は22パーセント増えたが、陽性反応が出た回数は100件以上も少なかった。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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