DHの候補者は多士済々
小園海斗がDHありの打順では打線のつながりを生むカギになるか?
4月28日の
DeNA戦(マツダ
広島)から5月5日の
巨人戦(マツダ広島)まで、いずれも3得点以下で1分けを挟み6連敗。5月8日の
中日戦(バンテリン)でようやく4点取って連敗を脱出したが、借金生活に突入し、順位も中日との4位争いと苦しい戦いになっている広島。5月25日からは交流戦も始まるが、何とかこのあたりでムードを変えるきっかけをつかみたいところだ。そこで今回は、DHありの交流戦でのオーダーなども検討しつつ、今後の上昇へのカギを握る選手を考えていきたい(成績は5月10日現在)。
交流戦で、いつものセ・リーグ同士との対戦と最も大きな変化が出るのは、やはりパ・リーグ主催試合でのDHだろう。広島の場合の候補者を考えてみると、左打者なら
松山竜平(このときは
クロンがファースト)と、スタメンマスクをかぶらないときの
坂倉将吾(このときは
石原貴規または
磯村嘉孝がスタメンマスク)が有力候補となる。この2人なら、クリーンアップに入れる打力があり、打線に厚みをもたらすことは間違いない。
一方、右打者は、現在一軍にいるメンバーでは
長野久義が第1候補か。現在は下半身のコンディション不良でファーム調整中だが、
會澤翼が交流戦に間に合うようならDH候補として浮上してくる。あるいは、外国人枠に余裕があるので、ファームでは段違いの打撃を見せる
メヒアを一軍に上げる手もあるか。そのほか、若手ではまだ今季ヒットは出ていないが、いい当たりは飛ばしている
正隨優弥も候補だ。
オーダーとしては、一番・
菊池涼介、二番・
羽月隆太郎はできれば固定していきたいところ。主軸の
鈴木誠也、
西川龍馬に、今挙げたDHの選手、
安部友裕で、その日の調子や相手との相性を見ながら三番から六番を構成、七番にクロン、八番に石原、九番に小園がベーシックオーダーになるか。坂倉がスタメンマスクの日は、坂倉を上位に入れて、さらに打順を1つずつ下げられる。クロンが八番なら、なかなかの打線になるはずだが……。
カギを握るのは、羽月、石原、小園海斗の若手3人だろう。羽月は試行錯誤の中から出てきた二番適任者だけに、何とか定着してもらいたいところ。また、前述のとおり坂倉や會澤をDHに多く回すためには、このところスタメンマスクも増え、守備でも好リードを見せている石原がどれだけ攻守に頑張っていけるかはポイントになる。小園は、セ・リーグ同士のゲームでは六番を打ったこともあるが、ピッチャーが入らないオーダーならば、九番に入れて、九番から一番へのつながりをよくするのが面白い。ここでチャンスを作って、好調な一番・菊池涼を、チャンスメーカーだけでなく、ポイントゲッターとしても使える形が多く作れれば、一気に打線のつながりが出てくることになるはずだ。
投手陣の起用法は?
投手陣のほうは、交流戦だからといって極端に起用法が変わることはないだろうが、DHありのゲームではロングリリーフが使いやすい(リードされていても攻撃時に代打を出す必要がない)ので、先発投手が不調のときには、早めに代えて
コルニエルが第2先発のような形でロングリリーフする、というような起用はあるかもしれない。
先発陣のほうは、これまで同様、
森下暢仁と
九里亜蓮を軸にして戦っていくことになるが、プロ初完投勝利もプロ初完封も交流戦で記録しており、交流戦に強い九里に期待したいところ。また、4月15日に下半身を痛め、戦列を離れていたエースの
大瀬良大地(5月11日にファームで実戦復帰し、5回3失点)がどの時点で戦列復帰できるかや、新外国人の
ネバラスカス(先発で期待)、
バード(救援で期待)がどのような形で戦力に入ってくるかもカギになりそう。2年前の2019年は5勝12敗で最下位となり、交流戦がチーム変調のきっかけとなってしまった広島だが、今季は逆に、上昇へのきっかけをここでつかんでいきたいところだ。
文=藤本泰祐 写真=BBM