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首位快走の阪神 岩崎優、岩貞祐太、スアレスは「JFK」になれるか?

 

大きかったスアレスの残留


阪神の勝利の方程式としてチームを勝利に導く岩貞、岩崎、スアレス(左から)


 首位をひた走る阪神。原動力になっているのが、「勝利の方程式」を結成する救援の岩崎優岩貞祐太、スアレスだ。

 5月20日現在(以下同)、セットアッパーの左腕・岩崎は22試合登板で1勝0敗16ホールド、防御率1.33と抜群の安定感を誇る。下半身の粘りを生かし、腕が遅れて出くるように見える球持ちの良いフォームから直球、カットボール、チェンジアップ、スライダーを丁寧に投げ分ける。勝負の分岐点で抑えても笑顔を見せないポーカーフェースが話題に。首脳陣からも絶大な信頼を寄せられている。

 岩貞は力強い直球が武器で、同じ左腕の岩崎と投球スタイルが違う。今季は17試合登板で2勝0敗11ホールド、防御率4.80。2試合連続で打ち込まれた試合があったため防御率が悪化してしまったが、きっちり抑えた試合のほうがはるかに多い。三振奪取能力が高く、強打者相手にも臆せず内角を突く。強気の投球は若手投手のお手本になっている。

 試合の最後を締めるのが守護神・スアレスだ。21試合の救援登板で1勝0敗13セーブ、防御率0.43。16日の巨人戦(東京ドーム)では自己最速の162キロを計測したが、155キロを超える直球とツーシームで打者はバットに当てるのも至難の業だ。速球派は制球に苦労することが多いが、スアレスは違う。今季も21イニングで四死球はわずか1と制球力もいい。

 スアレスは昨オフにメジャー移籍も噂されていたが、阪神残留が決まった。球団OBの岡田彰布氏は週刊ベースボールのコラムで、「もしスアレスがいなくなれば、チーム構想は大きく狂ってくる。だから残留工作を絶対に成功させること。これをオレは強く訴えてきたが、つい最近、願いが実ったようだ。スポーツ新聞に残留との報道があり、ホンマ、ホッとした。ピースがひとつ埋まったという単純なものではない。もしスアレスが不在となれば、クローザーはどうする? 先発から回すのか、セットアッパーから選ぶのか? 新たな外国人投手を獲得するのか? ひとり選手の去就次第で、チームは大きく動くところやった。それは最大の“補強”といえる」と話していたが、まさにその目論見どおりだ。開幕から絶対的守護神として稼働している。

「7回までに決着をつけないと……」


球史に残る鉄壁リリーバー「JFK」(左から久保田、藤川、ウィリアムス)


 阪神の勝利の方程式で野球ファンの脳裏に深く刻み込まれているのが、「JFK」だ。ジェフ・ウィリアムス藤川球児久保田智之の3投手の名前のイニシャルを取って形容された。ウィリアムスは左のサイドから鋭く横滑りするスライダー、藤川は打者の手元でホップするような軌道の「火の玉ストレート」、久保田はトルネード気味のフォームから球質の重い直球で打者をねじ伏せた。

 05年にリーグ優勝して脚光を浴び、08年までの4年間で3投手は計788試合に登板。07年は特にすごかった。ウィリアムスが60試合登板で1勝2敗42ホールド、防御率0.96、久保田がNPB歴代最多の90試合登板で9勝3敗46ホールド、防御率1.75とセットアッパーとして活躍し、守護神を務める藤川が71試合登板で5勝5敗46セーブ6ホールド、防御率1.63。久保田は最優秀中継ぎ投手、藤川は最多セーブ投手のタイトルを獲得している。「JFKが登場する7回までに決着をつけないと勝てない」と相手に嘆くほど強力なトリオだった。

 岩崎、岩貞、スアレスは「JFK」に近づけるか。高度な投球技術と強靭な精神力を兼ね備えている3投手はその可能性を十分に秘めている。

写真=BBM
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