状態を取り戻し奮闘していた梶谷
巨人のリードオフマンとして打線を牽引していた梶谷隆幸が5月25日に登録抹消された。23日の
中日戦(バンテリン)の3回に右翼の守備で
ビシエドの飛球を追いかけた際、二塁手の
吉川尚輝と交錯。ライン際でスライディングキャッチしたが左太もも裏の違和感で途中交代していた。三塁ベンチに戻る際も患部を引きずる仕草を見せていたことから、当面は治療に専念することになりそうだ。
昨オフに
DeNAからFA移籍した梶谷は開幕してから4月中旬まで打率1割台と調子が上がらなかったが、その後は広角に鋭い打球を飛ばす本来の状態を取り戻して今月9日の
ヤクルト戦(東京ドーム)から22日の中日戦(バンテリン)まで10試合連続安打。
坂本勇人が右手母指(親指)末節骨骨折で戦線離脱し、主軸の
丸佳浩も本来の調子を取り戻せない中、打率.305、4本塁打、21打点と奮闘していた。
チャンスメーカーの離脱は大きな痛手だが、若手にとっては大きなチャンスでもある。梶谷の穴を埋める右翼の筆頭候補は松原聖弥だ。育成枠で入団して18年7月に支配下昇格すると、一軍デビューした昨年は8月後半からは右翼のスタメンに定着し、86試合出場で打率.263、3本塁打、19打点、12盗塁。その野球センスは、
原辰徳監督に「天才的に野球をやる方」と一目置かれるほどだ。
今季は丸が新型コロナウイルスに感染して戦線離脱した4月に「一番・中堅」で結果を残していた。一番で4月の月間成績は打率.318、3本塁打、8打点。丸が復帰以降はスタメン出場がなくなり途中出場が多かったが、梶谷の離脱で再びレギュラー獲りのチャンスが。才能豊かな選手であることは間違いないが、勝負どころで判断ミスを見せることが時折ある。首脳陣から揺るぎない信頼を勝ち取りたい。
松原以外にも期待の選手が
また、
重信慎之介も目の色を変えてスタメン奪取を狙うだろう。今年はスタメン出場が9試合だが、代打、代走、守備固めと途中出場で輝きを見せている。交流戦前まで打率.283、1本塁打、4打点、5盗塁。なかなか殻を破れなかったが、身体能力の高さはチーム屈指で外野の定位置をつかんでも何ら不思議ではない。攻守走3拍子そろったプレースタイルは年下の松原に重なる。意地を見せたいところだ。
梶谷と入れ替わる形で一軍昇格した
石川慎吾は、パンチ力のある右打者として稀少価値がある。同学年の
中川皓太、
若林晃弘、
増田大輝、重信が一軍に定着している中、心に期する思いがあるだろう。かつて
日本ハムに所属していたが、交流戦でパ・リーグの投手相手に打撃でアピールすれば出場機会も増えていく。
頼もしい存在が、巨人一筋17年目の亀井善行だ。チームの窮地を何度も救ってきたベテランは今季主に代打で起用されているが、勝負強さは健在。外野のポジショニング、球際に強い守備能力もまだまだ若手には負けない。若手が
モタモタしていれば、「困ったときの亀井」が右翼のレギュラーを奪取する可能性は十分にある。
写真=BBM