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大学野球リポート

慶大・清原正吾に感じた非凡な“選球眼”。「打つべきボールを打ち、嫌なボールは見逃す」

 

父から受け継いだトップアスリートの資質


慶大・清原正吾は法大とのフレッシュトーナメント決勝で初の先発出場。3打数無安打に終わったが、可能性を感じる4打席であった


 ベンチ入り、代打、先発出場。

 慶大・清原正吾(1年・慶應義塾高)は東京六大学の春季フレッシュトーナメント(2年生以下)における3試合で、一歩ずつ、ステップアップしていった。

 ブロックBの早大戦(5月31日)では出場機会なく、東大戦(6月2日)では神宮デビューを果たして右飛。法大との決勝(6月3日)では「七番・DH」に名を連ねたが、3打数無安打(1四球、2三振)に終わった。

 最大の見せ場は、3回表の第2打席だった。2点を追う慶大は同点に追いつき、なおも、二死満塁で、打席には清原。一塁スタンドで観戦した父・清原和博氏(元オリックスほか)は身を乗り出し、祈るようにして見守ったが、遊ゴロに倒れている。

 忘れてはならないのが、清原には約6年のブランクがあるということだ。中学時代はバレーボール、高校時代はアメリカンフットボールに触れた。初の硬式球での公式戦、しかも、高校野球未経験者が、1年春にして全国から有力選手が集まる東京六大学でプレー。神宮の場に立っただけでも、相当なことなのだ。

 慶大・堀井哲也監督はネット裏で、清原の動きに目を光らせた。

「自分の力で、このステージまで持ってきた。今後は、このレベルでの競争になる。実際に戦った上で、課題が見えたのが大きい」

 非凡さを感じたのは「選球眼」である。

「打つべきボールをしっかりと振り、(本人が)嫌なボールは見逃していた。正木(智也、4年・慶應義塾高)に共通する部分です」

 フリー打撃と実戦では、天と地の差である。生きたボールを見られたのは財産。練習熱心であり、成長の余地は十分にある。打撃だけでなく、非凡さを感じたのは、ランニングだった。遊ゴロの際の走塁では軸が一切ブレず、フォームが安定。走る姿からも、父から受け継いだトップアスリートの資質を見た。

 大学野球は4年間8シーズン。1年春のシーズンに、神宮でプレーできるのはごくわずか。慶大でこのフレッシュトーナメントでベンチ入りした1年生は7人(全体で1年生は33人)で、出場者は6人。この「枠」に入っただけでも、大変な努力の積み重ねなのだ。

 ベンチ入り、代打、先発出場と来て、今後に期待するのは、安打である。そして、清原自身が「持ち味」と語る「長打力」で、神宮で豪快な本塁打を放つ日を、心待ちしたい。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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