3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 巨人・湯口が蒸発?
今回は『1973年2月19日号』。定価は100円。
2月1日、いよいよ春季キャンプがスタート。
巨人は多摩川からスタートし、平日というのに1000人以上のファンが集まった。
「今年も混戦でしょうが、負けるという気もしない。混戦になれば、伝統とチームプレーが生きてくる。そうなればやっぱりウチのものでしょう」と
川上哲治監督。不安はやはり
堀内恒夫一人と言われる投手陣。しかも、この年は南海から
長嶋茂雄の後釜と期待し、内野手の
富田勝、東映から
シュート投手、
高橋善正を獲得したが、そのために
山内新一、
松原明夫、
渡辺秀武、
小坂敏彦を放出。
山内、松原という伸び盛り投手に、
広島、
中日に強かったアンダーハンドの渡辺、
ヤクルトに強かった左腕の小坂が抜け、本当にプラスになったのかという疑問の声もあった。
しかもこれに対し、川上監督自身が、「バクチですよ。うちはどうしてもつぎの投手が育ってこない。一度、思い切ってこれしかないという状況にしてみたら、私も必死になるし、コーチも選手も必死になる。バクチではあるが、目標は投手の体質改善にあるわけなんです」と何やら悲壮感漂う話をしていた。
次代を担うはずの1人におかしな動きもあった。
かつてのドラフト1位・湯口敏彦が姿を見せていないのだ。
前年12月郷里に帰り、戻っていないという。父親は病気のため温泉療養中と説明したが、「そっとしてほしい」と詳しい場所などは教えてくれなかった。
湯口はファン感謝デーで大乱調。ある幹部からののしられ、「あいそをつかされた」とがっくり。酔いつぶれるまで痛飲していたという話もあった。
では、また月曜に。
<次回に続く>
写真=BBM