サインプレーや中継プレーに絡む機会が多く、打球に対しての瞬時の対応など身体能力の高さだけでなく、判断力が求められる。内野守備で「最も技術が必要」とされているポジションが二塁手だが各球団、しっかり機能しているのか。パ・リーグ6球団の「二塁手事情」を見ていく。 東北楽天ゴールデンイーグルス
チームで不動の主砲&二塁手である。指名打者で先発することもあるが、今季はここまで72試合中65試合、二塁手としてスタメン出場し、二塁守備での失策数は
中村奨吾の「3」に次ぐ「4」と安定している。6月23日の
西武戦(メットライフ)では二塁ベース付近の緩い当たりをつかむと、遊撃の
小深田大翔へバックトスし、そして一塁に転送されて併殺を完成。決して派手なプレーはないが、キャリアを生かした守備力でチームに貢献している。次世代選手では高卒2年目の
黒川史陽が成長中だが、しばらくその座は安泰だろう。
オリックス・バファローズ
開幕スタメンは20歳の
太田椋が勝ち取るも、バットが湿って二軍落ち。その後、
大城滉二ら併用が続いたが、遊撃手・
紅林弘太郎の台頭もあって、安達了一が二塁の位置に就いている。潰瘍性大腸炎を患い、休養日を設けながらの出場で、二塁守備も不慣れな面がやや否めないものの、それでも柔らかなグラブさばきは健在。打っては右方向に軽打を放つなど、打線のアクセントになり、不可欠な存在なのは確かだ。チームは首位を走り、快進撃を続ける。2014年、ゲーム差なしの2位に終わった悔しさを知る背番号3が、悲願成就の力になる。
福岡ソフトバンクホークス
周東佑京の“リードオフマン陥落”とともに二塁のポジションも空白に。ただ、代わって入る選手のレベルが高いのは、ソフトバンクの特徴と言えるだろう。
牧原大成(左太もも付近の張りのため離脱し、現在はファーム調整)、相手先発が左投手なら
川島慶三。最近は牧原大の離脱に伴って一軍に昇格した三森大貴が「一番・二塁」でアピール中だ。6月25日現在、打率.317と打撃面での好調が目を引く若鷹だが、守備でもしっかりとしたプレーでポジションをつかみにかかっている。ただ、牧原大も二軍戦で問題ないプレーを見せており、いつ昇格してもおかしくない状況。今後、ポジション争いは激しさを増しそうだ。
千葉ロッテマリーンズ
今季から主将を務める中村奨吾が開幕から全試合、スタメン二塁での出場を続けている。2017年までは遊撃、三塁と併用されていたが、18年から二塁手一本に。ほかのポジションを守った経験は大いにいかれており、「ゲッツーのときとか、(二塁)ベースに入るときに、捕球体勢を見て、こっちに(送球が)逸れる可能性があるなとか考えるし、気持ちが分かる」と語っていた。今季でプロ7年目。
井口資仁監督が主将に抜てきしたのは、期待の表れにほかならない。“相手の気持ち”も理解する主将が、チームを鼓舞する。
埼玉西武ライオンズ
正二塁手の
外崎修汰が4月4日のソフトバンク戦(PayPayドーム)死球を受けて左腓骨骨折で離脱。その後、二塁を守っていた
山野辺翔も6日の楽天戦(メットライフ)で一塁へヘッドスライディングした際に左手親指を負傷し、10日に登録抹消となった。二塁手を相次いで欠くピンチの穴を埋めたのは
山田遥楓。だが、5月上旬にケガで離脱していた
山川穂高が一軍に復帰し、それまで一塁を守っていた呉念庭が二塁を守るように。5月14日のロッテ戦(ZOZOマリン)からは呉が二塁でスタメン出場を続けている。内野はどこでも守れる呉。二塁も無難にこなしているが、粘りがあり、得点圏打率.462と勝負強い打撃でチームの勝利に貢献している。外崎が二軍で実戦復帰しており、一軍に戻って来た際には誰に二塁を任せるか、首脳陣の決断も注目だ。
北海道日本ハムファイターズ
正二塁手の定位置は今季も渡邉諒が担う。68試合中59試合でスタメン出場する渡邉に続くのは
杉谷拳士の7試合と
高濱祐仁の2試合で、二塁手の起用は3人のみ。日本ハムの全ポジションの中で最も“固定”されているといえるが、守備力は鉄壁というわけでもない。強打の二塁手として打力では貢献する一方で、レギュラーに台頭した昨季からの課題は守備。今季も4失策を喫しており、試合の勝敗を左右するミスも少なくない。勝負強い打撃ではチームに欠かせない存在なだけに、主力選手として守りでもけん引したいところだ。
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