現在、東京オリンピック開催中のためプロ野球のペナントレースは中断中でエキシビションマッチが開催されている。後半戦は8月13日からスタートするが、残りは60試合程度。優勝、そしてクライマックスシリーズ進出へ向け、一戦一戦の重要度は増すが、果たしてパ・リーグ各球団が浮上するためのポイントはどういった点にあるのだろうか。 記録は前半戦終了時 オリックス・バファローズ
1位・オリックス
87試合、42勝34敗11分、勝率.553
打線が活発で課題の得点力不足を解消。前半戦首位ターンの要因は攻撃面にあるが、一方で不安を残したままなのが救援投手だ。開幕時の抑えは
漆原大晟も、制球が定まらず逆転負けを喫すると、ベテラン・平野佳寿がクローザーに。だが故障離脱すると、
ヒギンス、
能見篤史、さらに若手と固定できずに終盤の逆転負けが目立った。交流戦から平野佳が復帰し、戦いが安定して浮上したが、今年37歳のベテランとあって連投は難しい。漆原、K-鈴木、
張奕、左腕なら
富山凌雅と候補者は多数いるものの、9回のマウンドの重圧を跳ね返す投手が現れるか。1敗の重みが増してくるだけに、救援投手がしっかりリードを守り抜けるかが大きなポイントになってくる。
東北楽天ゴールデンイーグルス
2位・楽天
88試合、41勝36敗11分、勝率.532
涌井秀章、
則本昂大、岸孝之に
田中将大が8年ぶりに復帰。「先発4本柱」と注目されたが、貯金を作ったのは則本昂のみというのは誤算だろう。救援陣はクローザーの
松井裕樹を中心に安定しているが、登板過多が気掛かり。先発陣が長いイニングを投げることが不可欠だ。一方、攻撃陣では決定打の欠如が課題となっている。リーグトップの66打点を誇る
島内宏明は別格だが、チーム打率.244、得点圏打率.241はいずれもリーグ5位と、チャンスでの一打が欲しいところ。投打がかみ合えば優勝が見えてきそうだ。
千葉ロッテマリーンズ
3位・ロッテ
83試合、37勝34敗12分、勝率.521
石川歩が故障離脱して先発投手陣は若手が中心。前半戦の勝ち頭は8勝の
岩下大輝で、開幕投手を務めた
二木康太も4勝を白星が伸び悩む。25歳左腕の
小島和哉、高卒2年目の
佐々木朗希、新人左腕・
鈴木昭汰と頭数はそろうも、優勝争いの重圧がかかる後半戦は、経験の少なさが不安材料だ。そんな中、復調が待たれるのが美馬学。交流戦で2試合連続10失点以上と大乱調して二軍に降格し、ファームでの再調整を経て後半戦に挑む。
佐々木千隼、
ハーマン、
益田直也と勝ち継投は固まり、
唐川侑己が故障復帰すれば、ブルペンはより盤石に。今季は打線が活発だけに、先発陣がしっかりゲームメークすれば自ずと勝機は見いだせる。経験豊富なベテランが先発投手の柱となりたい。
福岡ソフトバンクホークス
4位・ソフトバンク
88試合、37勝37敗14分、勝率.500
N.マルティネス、
C.レイの新助っ人頼みになった先発陣や、守護神・
森唯斗不在のリリーフ陣もさらなる奮起が求められるが、目下の課題は攻撃陣だ。交流戦前まで12球団トップの打率.264をマークしながら、得意の交流戦で同ワーストの打率.233。以降も6月は打てない日々が続き、月間チーム打率は.216に沈んだ。やはりクリーンアップを担うY.
グラシアルの穴は、そう簡単には埋まらないということだろう。そこで球団は7月23日にBCリーグ・茨城からD.アルバレス(外野手/キューバ共和国出身)を獲得。さっそくエキシビションマッチから一軍出場を続ける右の大砲候補は4試合でマルチ安打3度と後半戦が楽しみな活躍ぶり。期待どおりの“起爆剤”となってくれれば、後半戦スタートから上位を猛追できるはずだ。
埼玉西武ライオンズ
5位・西武
85試合、33勝38敗14分、勝率.465
野手にケガ人が相次ぎ、クローザーの
増田達至も不調から二軍落ちし、リリーフ陣は
平良海馬が孤軍奮闘。先発陣も
高橋光成、
松本航、
今井達也の3本柱は成長を果たしたが4番手の
ニールは1勝のみ。さらに5、6番手は確立されていないという心許ない状況だ。投打がかみ合わず、前半戦は借金5の5位に終わった。立て直さないといけないポイントは多々あるが、まずはメンバーがそろいつつある打線の奮起に期待したい。中でも山川穂高だ。開幕直後にケガをして戦線離脱。5月上旬に一軍復帰したが、前半戦は打率.222、13本塁打、35打点に終わった。しかも、得点圏打率は.167。2018、19年に本塁打王に輝いた長距離砲が輝きを取り戻し、打線が投手陣をカバーする状況をつくりたい。
北海道日本ハムファイターズ
6位・日本ハム
81試合、30勝42敗9分、勝率.417
前半戦は借金12で最下位を独走。投打のかみ合わない試合が続きとりわけ攻撃陣の不調は深刻だった。打線の中心を担うはずの主力勢がそろって低迷。
中田翔、
大田泰示は二軍落ちし、西川遥輝、
渡邉諒も本来の実力を発揮できず。復調してきた
近藤健介も首位打者を狙って臨んだ今季、打率2割8分台は納得いく数字ではないだろう。
淺間大基、
高濱祐仁、
野村佑希、
万波中正と勢いのある新戦力が台頭し、課題だったチーム力の底上げに光がさし始めた。主力が危機感を持ちチーム全体で勝利に向かう姿勢を示せるかが、浮上のポイント。打率が低くても本塁打が少なくても、チーム打撃に徹して勝利をつかみ取る姿勢を見せられるのは、経験値のある主力勢である。
写真=BBM