今季のDeNAは打撃が好調の一方で、投手陣の成績が芳しくない。特に先発が苦しんでおり、8月21日現在でチームの勝ち頭が5勝の濱口遥大と厳しい状況だ。このままだと誰も2ケタ勝利に届かずにシーズンを終える可能性も出てきた。こうした「2ケタ勝利投手が出なかった例」で有名なのが2000年のダイエー。リーグ優勝したにもかかわらず、2ケタ勝利投手が一人もいなかったレアケースだ。では、現在のチーム体制となった2005年以降で「2ケタ勝利投手が出なかった」のは何例あるのだろうか？

Aクラス入りのチームでも2ケタなしが3例

　2005年から2020年までの期間を対象に、「2ケタ勝利投手が出なかったチーム」を調べてみた。その結果は以下のとおり。

●2005年
楽天(チーム最多は岩隈久志の9勝)※リーグ6位

●2006年
楽天(チーム最多は一場靖弘、グリン、山村宏樹の7勝)※リーグ6位

●2007年
オリックス(チーム最多はデイビー、平野佳寿の8勝)※リーグ6位

●2008年
横浜(チーム最多は三浦大輔の7勝)※リーグ6位

●2011年
横浜(チーム最多は三浦大輔、高崎健太郎の5勝)※リーグ6位

●2012年
DeNA(チーム最多は三浦大輔の9勝)※リーグ6位
オリックス(チーム最多は西勇輝の8勝)※リーグ6位

●2013年
DeNA(チーム最多は三浦大輔9勝)※リーグ5位
ロッテ(チーム最多は唐川侑己、西野勇士、古谷拓哉の9勝)※リーグ3位
日本ハム(チーム最多は木佐貫洋、ウルフの9勝)※リーグ6位

●2015年
DeNA(チーム最多は久保康友の8勝)※リーグ6位

●2016年
ヤクルト(チーム最多は石川雅規、小川泰弘の8勝)※リーグ5位
中日(チーム最多は大野雄大、若松駿太の7勝)※リーグ6位

●2017年
中日(チーム最多は又吉克樹の8勝)※リーグ5位
ヤクルト(チーム最多は小川泰弘の8勝)※リーグ6位
ロッテ(チーム最多は二木康太の7勝)※リーグ6位

●2019年
ヤクルト(チーム最多は石川雅規の8勝)※リーグ6位
楽天(チーム最多は辛島航の9勝)※リーグ3位
ロッテ(チーム最多は石川歩、種市篤暉の8勝)※リーグ4位

●2020年
西武(チーム最多は高橋光成の8勝)※リーグ3位
日本ハム(チーム最多は有原航平、上沢直之、バーヘイゲンの8勝)※リーグ5位
オリックス(チーム最多は山本由伸の8勝)※リーグ6位

　2005年以降で、2ケタ勝利投手が出なかったのは全部で22例。さすがに2000年のダイエーのように、優勝チームで2ケタ勝利なしという珍しい例はなかった。それでも2013年のロッテ、2019年の楽天、2020年の西武のように、2ケタ勝利投手がいなくてもAクラス入りしたチームもあった。

Aクラス入りのチームでも2ケタなしが3例

　また、「2ケタ勝利投手なし」が最も多いのはDeNA(横浜時代含む)で5回。次いでヤクルト、楽天、ロッテ、オリックスの3回となる。楽天は創設当時は戦力差に苦しみ、岩隈の調子が上がらないこともあって2年連続で2ケタ勝利投手はなし。しかし、以降は岩隈の復活や田中将大をはじめとする強力な投手の台頭もあり、2018年まで2ケタ勝利投手を出し続けた。

　オリックスは投手は踏ん張るものの、打線の援護がなく勝ち星がつかない展開が多い。2020年の山本由伸はまさにその典型ともいえる例だ。しかし、今季は投打ともに充実しており、宮城大弥が11勝、山本由伸が10勝と若手2人が勝利ランキングトップを争っている状況だ。

　2016年に2ケタ勝利投手なしを記録しているのがヤクルト。実は1970年以来46年ぶり、球団史上2度目の記録だった。さらに翌2017年、2019年も2ケタ勝利投手なしとなっている。また、2016年の中日は36年ぶりの2ケタ勝利投手なしだったが、このシーズンは規定投球回到達投手も0人。これは2リーグ制以降では球団初の出来事だった。


　8月21日終了時点の成績を見ると、オリックスは宮城、山本がすでに10勝に到達しており、他チームでは青柳晃洋(阪神)、高橋優貴(巨人)、高橋光成(西武)が9勝で2ケタ勝利目前。それ以外でも勝ち頭が7勝、8勝と2ケタ勝利に届きそうな成績だ。一方で厳しそうなのが冒頭でも挙げたDeNA。チームトップは濱口の5勝で、このペースだと2ケタ勝利到達は厳しい。2005年以降、「2ケタ勝利投手なし」は全部で22例あったが、果たして今季は23例目が生まれてしまうのだろうか？

文＝中田ボンベ＠dcp　写真＝BBM