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落合博満、清原和博、江藤智、小笠原道大…巨人に移籍してきた強打者は活躍したのか?

 

 2021年8月20日に、日本ハム中田翔が無償トレードで巨人に加入。この移籍劇は物議を醸したが、巨人としては実績のある強打者獲得となり、打線の強化に成功したといえるだろう。かつては張本勲を日本ハムから獲得したように、巨人はこれまでに数々の強打者を他球団から獲得している。今回は、1990年代以降を中心に、巨人に加入した強打者をピックアップしてみた。

1990年代は数々の強打者をFAで獲得


巨人・落合博満


 巨人が獲得した強打者といえば、落合博満を思い浮かべる人は多いだろう。ロッテ時代には史上最多となる三度の三冠王獲得。1987年からは中日の主砲として、本塁打王や打点王のタイトルを獲得した。1993年オフには、同年に導入されたFA制度を行使し、巨人に移籍。入団時点での年齢は40歳ではあったが、第60代四番打者として勝負強いバッティングでチームに貢献し、リーグ優勝にも貢献した。巨人時代に放った本塁打は53本(四番では48本)。全盛期からすると物足りない数字ではあるが、10.8決戦での本塁打など、印象深い活躍を見せた。

 1994年オフには、ヤクルト広沢克己(後に広沢克、広澤克実に変更)がFAで加入した。ヤクルトでは最多本塁打のタイトルには届かなかったが、10年連続で2ケタ本塁打を記録しており、ヤクルト最終年の1993年も全試合に出場して26本塁打をマーク。頼れる主砲だったが、年俸など条件面で折り合いがつかなかったことで巨人にFA移籍した。巨人では四番・落合に続く五番打者として起用され、1年目は全試合に出場して20本塁打を記録。しかし、以降はケガも影響し低迷。1999年オフに自由契約となってしまった。

巨人・江藤智


 1990年代の巨人は、落合、広沢以外にも球界を代表する選手をFAで獲得。例えば、1996年オフには西武から清原和博、1999年オフには広島から江藤智がFAで加入している。清原は松井秀喜高橋由伸と強力なクリーンアップを形成したが、ケガや不振に陥るシーズンが多く、西武時代のような輝きを放つことはできなかった。それでも巨人での通算本塁打は185本で、巨人歴代でも9位の本数をマークした。江藤は加入初年度に32本塁打、翌年も30本塁打と活躍したが、2002年以降は徐々に成績が下がり、2006年にFA移籍に伴う人的補償で西武に移籍した。

他球団から加入した強打者で最も活躍したのは?



 2000年以降でまず挙げられるのが、2006年オフに加入した小笠原道大だ。日本ハム時代は首位打者や本塁打王、打点王と数々のタイトルを獲得した球界最高峰のバッターだ。巨人では三番を任され、4年連続3割30本塁打以上を達成。主砲のひとりとしてチームを支えた。残念ながら巨人時代は個人タイトルに届かなかったが、単純に数字だけで見れば、これまでにFAで巨人に加入した大打者ではトップクラスの成績を残したといえる。

 2011年オフには、横浜の主砲・村田修一をFAで獲得。横浜時代には2度の本塁打王を獲得しているが、長らくチームが低迷していたこともあり、「優勝争いできるチームで戦いたい」という理由で巨人に移籍した。加入1年目の2012年は、76代四番打者に指名されたが、打率.252、12本塁打と期待に応えることができず。しかし、翌2013年は3割25本塁打と復活するも、2014年、2015年は再び低迷。それでも2016年は再び復活と、低迷と復活を繰り返した。その後、2017年オフにチームの若返りを図る方針のため自由契約となり退団した。

巨人・ラミレス


 以降は陽岱鋼丸佳浩といった球界を代表する打者を獲得しているが、いずれも巨人では個人タイトルは獲得できておらず、現状では前所属チーム時代のような輝きを見せているとは言い難い。思うような活躍が見せられていない日本人選手が多い中、他球団から移籍してきた助っ人は目立った成績を残している。その代表格がアレックス・ラミレスだ。ヤクルト時代は主砲として本塁打王、打点王と数々のタイトルを獲得したが、巨人加入後も打棒は衰えず。首位打者1回、本塁打王1回、打点王2回、最多安打1回と圧倒的な結果を残した。四番打者としての連続先発出場も469試合で巨人歴代1位。まさに最強の助っ人だといえる。

 こうして振り返ってみると、巨人にやってきた強打者は、意外なほどに好結果が残せていない。層の厚さやプレッシャーなど、やはり巨人で活躍するのはそう簡単ではないということだろう。昨年オフには打力と走力を兼ね備えた梶谷隆幸DeNAから獲得しているが、果たして今後どのような活躍を見せるのかに注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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