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2021ドラフト

JR東日本・山田龍聖 150キロ左腕のあこがれは今永昇太「真っすぐが強く、見ていてカッコいい」【2021ドラフト候補】

 

高2夏の甲子園で屈辱


JR東日本・山田龍聖


 山田龍聖がオープン戦で登板するたび、千葉県柏市内にあるJR東日本野球場のネット裏は賑わいを見せる。高卒3年目。ドラフト解禁年となり、NPBスカウトの注目度は日に日に増している。

 高岡商高では2年春のセンバツ出場も、登板機会なし。2年夏の甲子園では東海大菅生高(西東京)との2回戦を2番手で救援するが、1回1/3で6失点と屈辱を味わった。さらにこの試合で二段モーションを指摘されて以降、投球フォームを崩してしまった。冬場にシャドーピッチングでフォーム固めに取り組み、148キロ左腕は第100回大会の夏に甲子園へと戻ってきた。

 原動力となったのは猛練習である。2年夏の甲子園敗退後、富山に戻ってから3日間に及ぶ特別メニューを消化。初日は近隣の水道つつじ公園の山道、2日目は弁当持参で二上山を登山し、3日目の最終日は島尾海岸を走った。しかし、同秋は北信越大会1回戦敗退により、3季連続の甲子園出場の夢が断たれた。3月のセンバツは大阪桐蔭高の試合を観戦し、夏へのイメージを高めた。集大成の高3夏である。

 佐賀商高との1回戦を7回1失点で、同校10年ぶりの甲子園勝利を挙げる。佐久長聖高(長野)との2回戦では147球の力投で、春夏を通じて24回目の甲子園で、同校初の大会2勝を挙げ、31年ぶりとなる3回戦進出へと導いた。

最後の甲子園で成長実感


 ベスト8をかけた大阪桐蔭高との3回戦で、山田は藤原恭大(ロッテ)、根尾昂(中日)、中川卓也(早大3年)、山田健太(立大3年)を擁する強力打線を3失点に抑えたが、1対3で惜敗した。藤原、根尾からも三振を奪うなど計11奪三振。高岡商高・吉田真監督は「3年間のベストピッチング」と称えたが、山田は「良い試合をしたとは思うが、勝ちたかった」と好試合では納得できない、と悔しさを露わにしていたのが印象的。とはいえ「甲子園が成長させてくれた。ここで終われるのは幸せ」と達成感も語った。甲子園3試合の快投が認められ、高校日本代表でプレーし、U-18アジア選手権(宮崎)で3位に貢献している。

 高校時代から北信越の担当スカウトだけでなく、編成トップも視察するほどの逸材だったが、プロ志望届は提出せず。「社会人の強いチームでやりたかった」と、JR東日本へ進んだ。

 1年目は右腕・太田龍(巨人)、2年目は伊藤将司(阪神)とエースの背中を見て育ち、高卒3年目は主戦の一人として登板機会が増えた。今年4月のJABA日立市長杯で自己最速150キロを計測。あこがれの投手はDeNA今永昇太。「真っすぐが強いし、見ていてカッコいい」と、羨望の眼差しを向ける。

文=岡本朋祐 写真=BBM

週刊ベースボール別冊秋嵐号『2021ドラフト候補選手名鑑』より
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