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契約延長報道の巨人・陽岱鋼 「大竹寛のように復活」なるか

 

移籍5年目は二軍暮らし



 崖っぷちから復活できるか。野球ファンの間で大きな反響を呼んだニュースが、スポーツ各紙が報じた巨人・陽岱鋼の残留だ。5年契約の最終年となった今季は7試合出場のみで打率.143、0本塁打、0打点。シーズンの大半がファーム暮らしでクライマックスシリーズもベンチ入りメンバーから外れた。戦力構想から外れることも予測されたが、陽は来年も巨人のユニフォームを着る公算が高い。

「外野の名手だった亀井善行が今季限りで現役引退しているのも影響しているかもしれない。陽の外野の守備力は現在でもハイレベルだし、フリー打撃を見る限り衰えを感じさせない打球を放っている。大幅減俸は避けられないと思いますが、来季の戦力構想に組み込まれたというニュースに台湾のファンも喜んでいるでしょう。球団フロント、首脳陣も巻き返しを期待しているので、もう一花咲かせてほしいですね」(スポーツ紙記者)

 俊足でパンチ力もある。その身体能力はチームメートや他球団の選手がうらやむほどだ。日本ハム時代の2013年に打率.282、18本塁打、67打点、47盗塁で球団史上初の盗塁王を獲得。翌14年も打率.293、25本塁打、85打点、20盗塁をマークする。ただ、日本ハム時代から故障が多いのがネックだった。15年は右太ももの張り、左手舟状骨剥離骨折と春先に度重なる戦線離脱で86試合出場、打率.259、7本塁打、36打点、14盗塁。翌16年も4月に左足首を痛めて登録抹消されたが、驚異的な回復力で2週間経たずに復帰。陽は週刊ベースボールのインタビューで当時の心境を語っている。

「とにかくシーズンの最初から最後まで戦うこと、それが今シーズンの一番の目標でもありました。だから早々にケガをしてしまったときは『ウソだろ、まさかの3年連続か……』と思いましたよね。悔しくて、悔しくて、歯がゆくて。でも幸いにも今回は軽症だったので本当にホッとしました。まだ100パーセントの身体ではないですけど、それでも僕のことを信頼して起用してくれる監督のためにも、そしてチームのためにも、身を粉にしてプレーしていきたいと思っています」

 右肋骨の亀裂骨折が判明した8月中旬以降は途中出場が続いたが、痛みをこらえてチームを支えた。4年ぶりのリーグ優勝、10年ぶりの日本一に貢献すると、同年オフにFA宣言して巨人に移籍。しかし、新天地でも17年は下半身のコンディション不良、18年は左手甲の骨折と度重なる故障で戦線離脱。同じ外野に丸佳浩梶谷隆幸がFA移籍してきたことで出場機会を減らした。移籍5年目の今季は一軍で戦力になれず、イースタンでも56試合出場で打率.238、6本塁打、22打点。不完全燃焼に一番悔しい思いをしているのは陽だろう。

救援で生き返る


巨人・大竹寛


 他球団からFA移籍し、苦境から光り輝いたお手本がいる。今季限りで現役引退した大竹寛だ。広島から巨人にFA移籍初年度の14年は9勝を挙げてリーグ優勝に貢献したが、15年は3勝。16年は6勝、17年は4勝。18年はわずか2試合の登板で1勝のみとファーム暮らしが長くなったが、長年務めていた先発から救援に配置転換されたことで再び輝きを取り戻した。19年は32試合登板で4勝0敗8ホールド、防御率2.77。11月のプレミア12で救援要員として侍ジャパンの世界一に貢献した。昨年も29試合登板で1勝2敗16ホールド、防御率2.59とリーグ連覇の原動力になった。

 大竹は完全燃焼してプロ20年間の野球人生を全うした。来季17年目を迎える陽に与えられるチャンスは少ないかもしれない。だが、モノにできるかで野球人生が大きく変わる。意地を見せてほしい。

写真=BBM
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