2021年シーズンの頂点を懸けた戦い、日本シリーズが始まる。今季はともに2年連続最下位からリーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜いた
オリックスと
ヤクルトの激突。25年ぶりの日本一を目指すオリックスが、ヤクルトを打ち破るポイントを探っていく。
欠かせないHR王の奮起
オリックスが日本一になるためには、ヤクルトの先発が誰であろうとも第1戦を確実に取ることが必須だろう。絶対的エース・
山本由伸の投げる試合を落とせばダメージは計り知れず、そのままズルズル行ってしまう可能性もある。第1戦で勝利を収めれば山本がもう一度先発し、7戦までもつれた場合はリリーフでスタンバイすることもできる。
さらに9回打ち切りだったレギュラーシーズンとCSに対して、延長12回まで行われる日本シリーズでは投手陣の継投が最大のカギになるはずだ。エース・山本は絶対的な存在だが、先発を予定する全員に完投能力があるわけではない。シーズンで51試合登板の
富山凌雅、43試合登板の
山田修義の両左腕は相手主砲で左打者の
村上宗隆を封じるという大事な役割がある。ヤクルトは
山田哲人や
塩見泰隆、
オスナ、
サンタナと右の強打者も多いため、
ヒギンスやシーズン終盤に力を発揮した
吉田凌の奮闘も欠かせないものとなる。リードを保ってクローザー・
平野佳寿にバトンを渡したい。
いずれにせよ、両監督の投手起用法が見どころか。ヤクルトより先発のコマがそろうオリックスは、
中嶋聡監督のリリーフ陣投入タイミングが勝負の分かれ目となるのではないか。
ただ、山本や
宮城大弥、
田嶋大樹ら先発投手陣がクローズアップされがちのオリックスだが、彼らがいくら好投しても援護がなければ勝利はない。仮に打ち込まれても、打線が奮起して打ち合いとなれば勝機を見出せる。それだけにカギを握るのは打線、中でも四番・杉本裕太郎だろう。
福田周平、
宗佑磨、
吉田正尚の一〜三番が機能しても、四番の当たりが止まれば、前の打者との勝負を避けられるケースも出てくるはず。重圧を与える意味でもホームラン王の奮起は欠かせない。投手戦も乱打戦も、「打てば勝てる」は共通すること。四番のバットで勢いを与えれば、勝算が高まるのは間違いない。
写真=BBM