近藤健介が粋な恩返しをした。シーズン最終戦となった10月30日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)。4回に先制の11号ソロを放つと、左翼席でホームランボールをキャッチした観客にお願いして、手元に戻した。試合後、打ったバットとともに、この日が最後の采配となった
栗山英樹監督へプレゼントしたという。「これまでお世話になった栗山監督の前で最後にホームランを打つことができてよかった」。試合も勝利で飾り、2012年に“同期入団”した指揮官のラストゲームを彩った。
選手会長として臨んだ初めてのシーズンは、悔しさと手応えが入り交じった1年だった。前半戦から思うように調子が上がらず、5度目の規定打席到達シーズンで初めて打率3割を切った(.298)。チームも3年連続5位に終わり、「個人としてもチームとしても悔しい結果に終わった」と振り返った。手応えとしては、後半戦に長打を求めて意識した「大きなスイング」を軸とした打撃がハマり始めた。「後半のほうが調子がいい時期を保てた」と、来季以降に自らが進むべき道も開けてきた。
東京五輪では金メダル獲得の力にもなり、チームを引っ張ることができる人間力も兼ね備える。今季の経験はさらなる進化への糧となるはずだ。
「やっぱり野球は勝たなかったら面白くありません」
ホーム最終戦でファンへ向けて、あえて言った言葉を胸に、来季こそ巻き返す。
写真=BBM