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バッティングにおける“間”とは?「始動後、しっかり準備してスイング」/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.母校の高校の練習を手伝っている者です。バッティングにおける「間[ま]」とは、どういうことを言うのか、何となく理解しているつもりですが、うまく説明できません。解説をお願いします。(青森県・25歳)


しっかりと“間”をつくって打つことは重要だ。写真は昨季のパ・リーグ首位打者のオリックス吉田正尚


A.バッティング動作を始動し、振り出す準備が整ってから実際に振り出すまでの“時間”のことを差します

 確かに「間」だけだと抽象的な表現で、人に伝えるとなると難しいのかもしれません。

 端的に言うと、タイミングをとって足を上げて(軸足側に引いて)以降、ステップをして打ちに出るまでの“時間”のことで、バッティング動作を始動し、振り出す準備が整ってから、実際に振り出すまでの“時間”のことを差します。

 野球中継などを見ていると、「良いバッターは間の取り方がうまい」や「自分の間で打てている」などと解説者が言うと思うのですが、それはつまり、始動してからしっかりと準備を整えてスイングに移行できている、ということです。また、この時間でボールを見定めて打ちに出る、見逃すなどの判断をしますので、“間”が短いと見極めに影響を及ぼし、反応で打つしかなくなりますし、思い描いたスイングができにくくなります。

“間”を長くとるには早めにタイミングをとって始動することです。しかし、これにはデメリットもあって、待つことに意識が行き過ぎると、逆に振り遅れにつながるので注意してください。特に少年野球などを指導に行くと、足を上げて早めに待つことで、出ていくタイミングを逸してしまう選手がいます。そのような選手には、「待つことも大事だけど、打ちに出ることを意識しなければいけないよ」とアドバイスをするようにしています。このバランスは重要ですね。

 ピッチャーのフォームや、間合いはそれぞれ異なりますが、ネクストバッタースサークルや、ベンチにいるときにタイミングを図っておいて、いざ打席に立ったときに、受け身にならないようにすることが大切です。つまり、どのようなピッチャーが相手でも、準備を早めに整えて、自分の“間”に引き込んでやる。

 また、ランナーがいる場合にはクイックモーションがありますので、大きく足を上げていては間合いが崩されてしまいます。それを考えると、ゆったり大きく準備して待つ打ち方と、足の上げ幅を半分にするとか、すり足にするなどして早いモーションにも対応できる打ち方の、2つの打ち方を持っていると、どのようなタイプのピッチャーが相手でも、自分の“間”で打てるので、良いと思います。私もフリー打撃などの練習から意識的に2種類の打ち方でスイングをするようにしていました。試してみてください。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

『週刊ベースボール』2021年11月15日号(11月2日発売)より

写真=BBM
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