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背番号物語

【背番号物語】中日「#1」高木守道、福留孝介、そして京田陽太。物語は名曲『燃えよドラゴンズ!』のように?

 

現役に並ぶ3人


99年から07年まで中日の背番号「1」は福留の背にあった


 一般的に“チームの顔”といえる選手が背負う「1」。近年も投手が増えつつある印象があり、過去にも近鉄の鈴木啓示など好投手を輩出したナンバーだが、やはり全体的には少数派だ。ただ、中日の系譜はバラエティー豊富で、1リーグ時代には珍名で鳴らした(?)内野手の戒能朶一(かいのう・だいち)、2リーグ分立の前後には助監督を兼任した“野球名人”坪内道典、60年代には濃人貴実監督もいた。ポジション別では捕手が不在。投手は左腕の近藤真一も着けたが、やはり圧倒的に少ない。

 迎える2022年シーズンの「1」は京田陽太だ。ドラフト2位で17年に入団、1年目から141試合に出場して149安打、23盗塁で新人王に。3年目の19年に「51」から変更、その後も安定した活躍を続ける。堅実な遊撃守備も持ち味で、打順は背番号と同じ一番が多い京田。「1」といえば巨人王貞治ら長距離砲のイメージも強く、一方で「51」はオリックスイチローが大きな存在に成長させたヒットメーカーの象徴。全体的な印象としては「51」のタイプに分類されそうな京田だが、中日の「1」に限っていえば、間違いなく正当な後継者といえる。

現在、中日で背番号「1」を着けているのは京田だ


 ただ、まだ京田も「1」では4年目。歴代「1」の残像が消えないというファンも少なくないのではないか。京田の前に「1」だった友永翔太は外野手で4年間だったが、その前は2年目の08年から歴代3位の7年間「1」でプレーした堂上直倫で、15年からは巨人へ移籍した兄の剛裕が着けていた「63」の後継者に。16年には遊撃のレギュラーとして規定打席にも到達している。堂上の前も中日で現役を続けているレジェンドだ。

 21年に阪神から復帰、「9」でプレーしている福留孝介がドラフト1位で入団した1999年から2007年オフにメジャーへ移籍するまで背負っていたのが「1」。福留は一般的な「1」のイメージに近いフルスイングが持ち味の強打者だ。02年には打率.343で初の首位打者、翌03年には34本塁打を放ち、06年は31本塁打、打率.351で2度目の首位打者、初のMVPに。落合博満監督の下、中日を黄金時代へと導き、FAでカブスへ移籍した。この22年も外野手として登録されている福留。「1」での大活躍も外野手としての印象が強いが、初の首位打者となった02年に転向したもので、もともとは京田と同じ遊撃手だった。やはり1年目から遊撃のレギュラーとして132試合に出場、16本塁打でリーグ優勝に貢献している。

遊撃手の系譜に光る屈指の二塁手


92年から97年まで中日で背番号「1」を着けた種田[左。右は立浪]


 21年から正遊撃手の経験がある「1」の歴代3人が現役に並ぶ豪華な(?)陣容となっている中日。福留の前は1年の欠番で、これは故障が続いた「1」の種田仁が「49」に変更したため。「0」の二塁手としてブレークした種田は、3年目の92年に「1」の遊撃手となり、この2022年から監督を務める立浪和義と二遊間、そして打順でも一、二番でコンビを組んだ。

 1リーグ時代は安定感を欠いた「1」が初めて5年を超えたのも遊撃手の背中で、初の日本一に輝いた1954年の「1」でもある牧野茂だ。中日の「1」は基本的には遊撃手の系譜といっていいかもしれない。牧野の後継者となった本多逸郎は外野手だったが、日本一イヤーは一番打者。このときの背番号は、2021年から福留が着けている「9」だった。

通算20年、中日で背番号「1」を着けた高木


 1954年から中日は優勝から遠ざかり、20年後の74年に巨人のV10を阻むリーグ優勝を果たすのだが、このときの「1」が二塁手の高木守道だ。歴代でも屈指といわれる二塁守備の一方で、通算2274安打、236本塁打、369盗塁と、まさに攻守走がそろった名手。プロ4年目の63年に「41」から「1」となって初めて規定打席に到達、80年オフに現役を引退してからも指導者として2年間「1」を着けており、選手として18年間、通算で20年間は、2位の福留を大きく引き離す。

 ちなみに、Vイヤーの74年に登場したのが、歌詞を変えながら歌い継がれる名曲『燃えよドラゴンズ!』。そこで真っ先に歌われているのが一番の高木だ。もちろん歌詞の一番は打順だが、背番号も「1」。中日の「1」はポジションを問わないが、やはり一番打者が似合う?

【中日】主な背番号1の選手
高木守道(1963〜82)
種田仁(1992〜97)
福留孝介(1999〜2007)
堂上直倫(2008〜14)
京田陽太(2019〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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