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菅野智之、西勇輝、涌井秀章、今永昇太…優勝のために復活を期す「エース」たち

 

 リーグ優勝へ、エースの稼働は不可欠な要素だ。昨季25年ぶりのリーグ優勝を飾ったオリックス山本由伸が18勝5敗、勝率.783、防御率1.39、奪三振206で球団初の「投手四冠」を達成し、沢村賞、MVP受賞とタイトルを総ナメにする活躍を見せたのが象徴的だった。菅野智之西勇輝涌井秀章今永昇太……今年は「エース復権」で信頼を取り戻す。

中居正広氏も大きな期待


昨季は不振に陥ったが今季に復活を懸ける菅野


・菅野智之(巨人)
昨季成績19試合登板、6勝7敗、防御率3.19
通算成績215試合登板、107勝56敗、防御率2.39

 最多勝3度、最優秀防御率4度受賞するなど球界を代表する投手として活躍し続けていたが、プロ入り9年目の昨季は大きな試練を味わった。故障やコンディション不良に苦しみ、4度の登録抹消を経験。内定していた東京五輪も出場辞退した。シーズン終盤は直球に以前の力強さを取り戻したが、V逸の責任は誰よりも強く感じているだろう。タレントの中居正広氏は週刊ベースボールのコラムで巨人の昨季の戦いぶりを分析。「あとは投手陣がどこまで奮起できるか。特に菅野智之は昨シーズン6勝(7敗)に終わったことで期するものがあるでしょうし、最低でも14か15は勝ってもらわないと。それだけ勝つということは年間を通して好不調の波も少なく、先発ローテの中心で回るということ。それに菅野のもたらす1勝というのはただの1勝ではなくて、チーム全体にも影響を及ぼしますから。菅野で勝つか、負けるかで優勝の行方は大きく変わってきますし、スーパーエースの復活に注目していきたいと思っています」と期待を込めている。

安定感を取り戻して


球界屈指のゲームメーク能力を今季は取り戻したい西


・西勇輝(阪神)
昨季成績24試合登板、6勝9敗、防御率3.76
通算成績280試合登板、101勝87敗、防御率3.21

 西の魅力は安定感だ。オリックスでは2ケタ勝利を5度マークするなど先発で稼働し、阪神にFA移籍した2019年は10勝をマーク。新型コロナウイルスの影響により120試合制で行われた一昨年も11勝5敗でリーグ3位の防御率2.26とエースにふさわしい成績を残した。だが、昨季は“らしさ”が影を潜めた。夏場以降は集中打を浴びて大量失点を喫する場面が目立ち、9月10日の広島戦(マツダ広島)で通算100勝目を挙げるまで約3カ月を擁した。10月13日の巨人戦(東京ドーム)に先発した際、右ヒジの違和感を訴えて2回途中に緊急降板。クライマックスシリーズでも登板機会がなく、ファーストステージで敗れた。先発陣は昨季最多勝の青柳晃洋秋山拓巳ガンケル伊藤将司高橋遥人と豪華な顔ぶれがそろうが、西のゲームメーク能力は球界屈指で勝つとチームも勢いに乗る。先発の柱として意地を見せてほしい。

復活のカギはストレートの質


昨季は好スタートを切ったが、徐々に調子を落とした涌井


・涌井秀章(楽天)
昨季成績21試合登板、6勝8敗、防御率5.04
通算成績458試合登板、150勝140敗37セーブ16ホールド、防御率3.57

 昨季は3、4月に4勝0敗、防御率1.51で月間MVP受賞と最高のスタートを切ったが、5月に入ると大量失点でKOされる試合が続き、6月中旬に登録抹消。7月に復帰したが5連敗と本来の状態を最後まで取り戻せず、シーズン終盤に救援に配置転換された。その実力は申し分ない。西武で最多勝2度、2009年に沢村賞を獲得し、ロッテにFA移籍して15年に15勝を挙げて3度目の最多勝を獲得した。金銭トレードで楽天に移籍した20年は11勝4敗で4度目の最多勝。3球団で最多勝を獲得するのはNPB史上初の快挙だった。無尽蔵のスタミナで完投能力が高い。変化球の精度も高いが、復活のカギは直球の質だろう。球速以上のキレで打者を抑え込んでいたが、昨年の5月以降は簡単にはじき返される場面が目立った。今年の春季キャンプは二軍スタート。もう一度先発ローテーションの座をつかみ、輝きを取り戻したい。

ファンへの感謝の思いを胸に


昨季は9月に2年ぶりの完投勝利を挙げた今永


・今永昇太(DeNA)
昨季成績19試合登板、5勝5敗、防御率3.08
通算成績122試合登板、46勝42敗4ホールド、防御率3.44

 DeNAのエースとして活躍してもらわなければ困る左腕だ。1年目から先発ローテーションに入り、2019年に13勝を挙げるなど2度の2ケタ勝利をマーク。球界を代表する左腕に駆け上がるかに見られたが、一昨年10月に左肩をクリーニング手術して長期離脱を経験した。昨年5月に一軍復帰し、イニングと球数を少しずつ増やし、9月19日の中日戦(横浜)で2年ぶりの完投勝利。復活に向けて手応えをつかんでいる。今永は週刊ベースボールのインタビューで「ケガをしてあらためて思ったのは、一見すればプロ野球は、僕たちがファンの方に感動を与えたり、すごいプレーで魅了したりしているように見えますが、実は逆でした。選手のほうがファンの方から勇気をもらい、明日への活力になっていることをリハビリ期間中はすごく感じました」とファンへの感謝の思いを語っている。今春キャンプでは2月15日に左前腕部の炎症の診断を受け、二軍のリハビリ組へ回ったが、焦らずに完全復活の年とすべく調整を進める。

写真=BBM
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