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昨年は吉田正尚が2年連続首位打者…最多勝? 本塁打王? 連続獲得が難しい個人タイトルは

 

昨季2年連続で首位打者に輝いたオリックス・吉田正


 昨季のパ・リーグは、オリックスの吉田正尚が2年連続で首位打者に輝いた。同タイトルの連続獲得は、2003年の小笠原道大以来18年ぶり。連続で首位打者になるのはそれだけ難しいのだ。では、野手・投手で全12部門ある全個人タイトルで、「連続受賞が最も難しい」のはどのタイトルなのだろうか?

打撃では首位打者の連覇が難しい


 今回は、2リーグ制2年目の1951年以降(1年目は連覇不可能なので除外。1950年以降制定のタイトルも同じ)を対象に、各タイトルの「連続受賞者数」と「連続受賞回数」、「連続達成割合」を調べてみた。
※同一選手が両リーグで連覇を記録していた場合はそれぞれ1人とカウント

 まず打撃タイトルは以下のようになった。

●首位打者
連続受賞者数:15人(セ:8人、パ:7人)
連続受賞回数:16回(セ:9回、パ:7回)
連続達成割合:11.3%(16回/セパ計142シーズン)

 首位打者は過去15人が連続受賞している。このうち王貞治は2度記録しており、回数で見ると通算16回になる。達成割合は11.3%。ちなみに、パ・リーグは吉田正が久しぶりに連覇したが、セ・リーグは1998年以降はいまだに連続達成者が出ていない。

●最多本塁打
連続受賞者数:23人(セ:10人、パ:13人)
連続受賞回数:26回(セ:11回、パ:15回)
連続達成割合:18.3%(26回/セパ計142シーズン)

 最多本塁打のタイトルを連続受賞したのは過去23人いる。パ・リーグのほうが連覇達成者が多く、中でも西武中村剛也は2年連続を3度達成。連続達成割合は18.3%と、連続首位打者よりも出やすい傾向にある。

●最多打点
連続受賞者数:20人(セ:9人、パ:11人)
連続受賞回数:22回(セ:10回、パ:12回)
連続達成割合:15.5%(22回/セパ計142シーズン)

 最多打点のタイトルを連続受賞した選手は、1950年以降20人。王貞治と山内和弘が2度連続受賞しており、回数で見た場合は22回となる。連続達成割合は15.4%と打撃三冠の中では首位打者に次いで連覇が難しい。

現役では中日・大島[写真]、ヤクルト・青木が2年連続で最多安打の獲得を経験している


●最多安打
連続受賞者数:8人(セ:5人、パ:3人)
連続受賞回数:8回(セ:5回、パ:3回)
連続達成割合:14.8%(8回/セパ計54シーズン)

 最多安打は1994年に制定された比較的新しいタイトル。これまでイチローなど8人が達成しているが、連続達成割合は14.8%と意外と低い。ちなみに、現役の達成者は大島洋平(中日)と青木宣親(ヤクルト)の2人だ。

●最多盗塁
連続受賞者数:25人(セ:13人、パ:12人)
連続受賞回数:26回(セ:14回、パ:12回)
連続達成割合:18.3%(26回/セパ計142シーズン)

 最多盗塁は過去25人、計26回連続受賞が発生している。連続達成割合は18.3%で最多本塁打と同じ。もちろん連覇は簡単ではないが、他の打撃タイトルよりは「出やすい」のかもしれない。

●最高出塁率(最多出塁数)
連続受賞者数:19人(セ:8人、パ:11人)
連続受賞回数:22回(セ:9回、パ:13回)
連続達成割合:19.3%(22回/セパ計114シーズン)

 打撃6部門で連続達成割合が最も高かったのが「19.3%」の最高出塁率のタイトルだ。落合博満は両リーグで計3度達成(セ2回、パ1回)。また、張本勲とイチローは複数年連続を2度記録した。現役でも4連覇した柳田悠岐(ソフトバンク)をはじめ、5選手が経験している。

連覇が難しい「勝率第一位」のタイトル


 次に投手タイトルの「連続受賞者数」「連続受賞回数」「連続達成割合」だ。

●最優秀防御率
連続受賞者数:13人(セ:7人、パ:6人)
連続受賞回数:13回(セ:7回、パ:6回)
連続達成割合:9.2%(13回/セパ計142シーズン)

 最優秀防御率のタイトルを連続受賞した選手は過去13人。連覇が可能になる1951年以降、計142シーズンでの連続達成割合は9.2%とかなり低い。また、連続受賞を複数回記録した選手はいない。

●最多勝
連続受賞者数:18人(セ:11人、パ:7人)
連続受賞回数:19回(セ:12回、パ:7回)
連続達成割合:13.4%(19回/セパ計142シーズン)

 最多勝の連続受賞は、18人が計19回達成している。連続達成割合は13.4%と最優秀防御率ほどではないが連覇は難しいタイトルだ。連覇した18人のうち、複数回経験しているのは斎藤雅樹だけというレアなデータもある。

●勝率第一位(最優秀勝率投手)
連続受賞者数:4人(セ:2人、パ:2人)
連続受賞回数:4回(セ:2回、パ:2回)
連続達成割合:5.6%(4回/セパ計71シーズン)

 打撃・投手の全タイトルのうち、連続達成割合が最も低かったのが勝率第一位(最優秀勝率投手)のタイトルだ。セパ合計71シーズンで達成者はわずか4人。連続達成割合は5.6%しかない。達成したのは藤田元司堀内恒夫斉藤和巳杉内俊哉。現役での達成者は0人だ。

2018、2019年にDeNA・山崎が連続でセーブ王に輝いている


●最多セーブ(最優秀救援投手)
連続受賞者数:15人(セ:8人、パ:7人)
連続受賞回数:17回(セ:9回、パ:8回)
連続達成割合:18.1%(17回/セパ計94シーズン)

 最多セーブ(最優秀救援投手)のタイトルを連続受賞した選手は過去15人。江夏豊赤堀元之が2度経験しており、連続受賞回数は17回となる。連続達成割合は18.1%。現役ではDeNAの山崎康晃のみが経験している。

●最優秀中継ぎ
連続受賞者数:11人(セ:7人、パ:4人)
連続受賞回数:11回(セ:7回、パ:4回)
連続達成割合:22.0%(11回/セパ計50シーズン)

 歴史の浅いタイトルだが、連覇達成者は11人、連続達成割合は22%と意外と高い。直近ではヤクルトの清水昇が2021年に連続受賞を達成した。ちなみに、3年連続受賞者は過去0人。清水は今季偉大な記録に挑むことになる。

●最多奪三振
連続受賞者数:12人(セ:3人、パ:9人)
連続受賞回数:12回(セ:3回、パ:9回)
連続達成割合:19.4%(12回/セパ計62シーズン)

 こちらも歴史の浅いタイトルだが、セパ計62シーズンで連覇は12回と連続受賞回数は多い。ただ、連覇達成はパ・リーグが9回と圧倒的に多く、最近ではソフトバンクの千賀滉大が2019年、2020年と連覇。オリックスの山本由伸も2020年、2021年と連続で受賞している。一方のセ・リーグは2014年のランディ・メッセンジャー以降連覇はない。

 野手・投手タイトルで最も連続獲得が難しいのは「勝率第一位」。次いで「最優秀防御率」という結果になった。特に勝率第一位のタイトルは、連覇した投手が過去4人と非常に少ない。昨季は青柳晃洋(阪神)と山本由伸(オリックス)が同タイトルを獲得したが、果たして2年連続で受賞できるのか。2人の活躍に期待したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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