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田中正義、根尾昂、清宮幸太郎…ブレーク期待される「ドラ1」たちの現状は

 

 プロの世界は横一線の実力社会だが、「ドラフト1位」は特別な存在と言えるだろう。チームの中心選手として嘱望されているため、活躍できなければファンの見る目も厳しくなる。この選手たちも大輪の花を咲かせるために試行錯誤を重ねている。田中正義根尾昂清宮幸太郎……野球ファンは彼らのブレークを心待ちにしている。

6球団競合の逸材が先発入りへ


今年は実戦での好投が続き開幕先発ローテ入りが見えてきた田中


・田中正義(ソフトバンク)
※昨季成績 18試合登板、0勝0敗1ホールド、防御率2.16
※通算成績 29試合登板、0勝1敗1ホールド、防御率4.94

「日本のエース」になれる逸材と評されて6年目。大器がようやく覚醒の時を迎えようとしている。救援から先発に転向した今年は2月の紅白戦、練習試合と実戦で好投を続けて首脳陣にアピール。藤本博史監督は春のキャンプで投手陣のMVPに挙げていた。今月3日の中日戦(PayPayドーム)でも直球が最速154キロを計測し、3回4奪三振1失点の好投。開幕先発ローテーション入りが見えてきた。

 創価大で最速156キロの直球を武器にスケールの大きい投球スタイルで、ドラフト時に1位指名で6球団が競合。希望球団だったソフトバンクの入団が叶うが、右肩、右ヒジの度重なる故障でなかなか一軍定着できない。復調の兆しが見られたのが昨年だった。自己最多の18試合に登板し、平均球速150キロを超える直球で力強い投球が戻ってきた。

 田中は週刊ベースボールの取材で、「体が変わってきたことで球に強さが出てき始めているのは、僕自身も感じています。ボールを強く押せるようになってきている、というのか。体の変化はトレーニングによるところですね。トレーニングする上で強く意識しているのは、筋肉単体ではなく、体全部が連動しているか。体がつながっていないとできないようなトレーニングをずっとやってきているので、そこがようやくボールにも表れてきているような気がします」と手応えを口にしていた。先発転向した今年は制球力が改善され、変化球の質も上がっている。大ブレークなるか。

課題の打撃で結果を残して……


身体能力の高さをうまく打撃につなげていきたい根尾


・根尾昂(中日)
※昨季成績 72試合出場、打率.178、1本塁打、16打点、0盗塁
※通算成績 83試合出場、打率.165、1本塁打、16打点、0盗塁

 身体能力の高さは誰もが認める。俊足を生かした守備範囲、強肩で外野の守備力は一軍でも高水準に位置するが、課題は打撃だ。あこがれだった立浪和義監督が就任。中村紀洋打撃コーチ、森野将彦打撃コーチが熱心にアドバイスを送るのも期待の大きさの表れだ。

 現役時代に巧打者で知られた野球評論家の柴原洋氏は週刊ベースボールで根尾の打撃フォームを連続写真で分析する企画で以下のように指摘している。

「問題だと感じるのは、ポイントを置く位置ではないでしょうか。構えて、右足を上げて、ステップした写真まではいいのに、ポイントを手前に置き、近くで打とうとし過ぎているように映ります。これではアベレージはついてきません。目線も前ではなく、真下。これだけ顔を動かしてしまうと、自分が思っているポイントともずれてしまう可能性が大きいです。このシーンはアウトコースのボールに対する打席ではあるものの、それにしても、ポイントを手前に近づけ過ぎているようにも感じます。うまく合わせる技術を持っていることは事実ですが、インコースを厳しく攻められたり、強振しようとすると、確率は悪くなります」

 オープン戦では1学年下の岡林勇希がリードオフマンとしてシュアな打撃を見せ、石川昂也も三塁の定位置に最も近い存在としてスタメンで起用されている。根尾は途中出場が多いが、定位置獲得へ結果を残し続けるしかない。

新庄ファイターズの救世主に


昨季は初めての一軍出場なし。5年目の今季は結果を残すしかない清宮


・清宮幸太郎(日本ハム)
※昨季成績 出場なし
※通算成績 230試合出場、打率.198、21本塁打、73打点、2盗塁

 新庄剛志新監督が就任し、レギュラーが白紙となった。各選手のモチベーションが高い中、この長距離砲も変わろうとしている。入団4年目の昨季は一軍出場なし。故障していないにもかかわらず一軍からお呼びの声がかからなかったのが清宮の現状だった。昨年の秋季キャンプで新庄監督から減量指令を受け、103キロから9キロ減の94キロに肉体改造。精悍になった表情で目つきも鋭さを増した。

 タレントの中居正広は週刊ベースボールの連載で清宮に対する特別な思いを語っている。

「個人にも目を向けると、僕が『来シーズンこそは』と期待を寄せている選手の1人が、日本ハムの清宮幸太郎なんです。大きな話題を集めた彼もプロに入って4年の月日が経ち、そろそろ出てきてほしいなと。日本一チームの四番に座ってセのMVPにも輝いた同学年の村上宗隆(ヤクルト)はもちろん、宮城大弥(オリックス)、奥川恭伸(ヤクルト)、そして佐々木朗希(ロッテ)と清宮より下の世代も活躍してきていますからね。打撃スタイルについてはいろいろな意見があり、もちろん僕には詳しいことは分からないですが、小さくはまとまってほしくないなって思います。やっぱり清宮の最大の持ち味は高校通算111本塁打をマークしたスケール感ある天性の豪快なバッティングですから。打率は.250でも、30〜40本塁打を打って常に本塁打王争いをするような選手になっていってほしいなと」

 新庄ファイターズの救世主になれるか。

写真=BBM
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