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川口和久WEBコラム

原辰徳監督の「一番打者最強論」で打順がどう変わる?/川口和久WEBコラム

 

次の注目は投手の打順か



「今年のシーズンは厳しいシーズンになりますかね」

 巨人・原辰徳監督がそう言っていたが、表情を見て「あ、これ本音みたいだな」と思った。

 実際、まだまだオープン戦前半だが、投打で特出した活躍を見せている選手がいない。V奪回に向け、歴戦の将・原監督も穏やかではないのだろう。

 投手陣は桑田真澄コーチが新人やかつてのドライチなど若手を積極的に使っているが、構成が固まったわけではないし、若手投手がすぐに実戦で力を発揮するのは難しい。助走期間は必要だ。

 原監督は今のところ桑田コーチを信頼し、完全に任せている。今の流れを見ていると、投手陣が世代交代をスムーズに遂げ、かつ安定化したら、そのまま次期監督は桑田コーチになるのかもしれない。

 一方、打線に関しては原監督は任せきりにはしていない。

 その中で口にしたのが「一番打者最強論」だ。2007年には高橋由伸を置いたことがあったが、そのイメージだろう。実際、オープン戦では丸佳浩を一番に起用しているが、これは面白いな、と思った。

 従来の一番像は、中日大島洋平のように足が速くて、三振が少なく、逆方向に打ち返すことができ、打率を残せるバッターだ。

 その考えからなら、今までなら松原聖弥吉川尚輝らが候補になる。そこから二番打者最強論なら坂本勇人を置き、三番が丸、四番・岡本和真、五番・中田翔、あるいはウィーラーか新外国人となるのかな。

 ただ、投手陣がはっきりしない中で、より初回の得点力を上げ、ゲームを支配していこうという原監督が考え、そこから出たのが一番最強論だと思う。

 丸の場合、さきほどの一番の条件をすべてそなえたうえで、長打力もあるしね。

 実際、先発タイプの投手は立ち上がりに隙ができることは多い。一番から長打で畳みかけていけば大量点で投手を楽にすることもできるだろう。

 もちろん、野球は初回で終わるわけじゃない。流れ次第では一番の強打者の前に走者がなく二死ばかりという裏目のケースもあるかもしれない。

 そうなると次の注目は九番打者になる。DHのあるパでは、ここに一番タイプを置くが、投手が打席に入るセでは投手の定位置になっている。

 初回以降を考えれば、一番打者の前に走者を置きたいから、投手は七番。巨人であれば、八番・吉川尚、九番・松原でどうだろう。

 これまで何度も従来の常識を崩してきたのが、原野球だ。今年の仕掛けの第1弾が打順改革になるのかな。

写真=BBM
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