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中日・根尾昂に「二刀流」の現実味 「投手としての素質は十分」の指摘が

 

高校時代は野手として高評価


今季、4年目を迎えた根尾


 投手と野手の「二刀流」の実現の可能性が高まっているのが、中日根尾昂だ。4月2日の広島戦(バンテリン)は救援陣をつぎ込み、延長12回途中に最後の投手だった森博人が起用されると、根尾がブルペンで投球練習の準備をしている様子がモニターで映し出されていた。

「不測の事態に備えて、根尾が今後救援で登板する可能性は考えられます。今年は延長12回まで実施されるため救援陣の負担が大きい。投げられる野手がいればチームにとっても助かります。ご存じの通り、根尾は大阪桐蔭高で投手と野手の『二刀流』で活躍していた実績がある。実際に今でもブルペンで質の良い球を投げていますしね」(スポーツ紙記者)

 高校時代に投手として活躍し、プロ入り後は野手一本で勝負するケースは多く見られるが、根尾は投手としての評価が高かった。大阪桐蔭高で2017年、18年のセンバツでは2年連続で決勝戦のマウンドに登っている。2年春、3年春、3年夏の全国制覇は主軸の打者としてだけでなく、「投手・根尾」の存在なしには叶わなかっただろう。4球団が競合の末、ドラフト1位で中日に入団すると、根尾本人が遊撃で勝負することを希望した。当時のプロの評価はどうだったのだろうか。在京スカウトはこう振り返る。

「投手より野手としての評価が高かったですね。投手としての能力が低いわけではないですが、今後の伸びしろを含めてエースになれる素材かというとどうかなと。それなら身体能力の高さを生かし、守備を徹底的に鍛えて球界を代表するショートストップとして育てたほうがいいと感じました。ただ、現状では伸び悩んで今年は外野一本で勝負している。開幕一軍入りは果たしましたが、同じ外野手で岡林勇希鵜飼航丞が台頭してなかなか出場機会がない。この状況なら投手で十分投げられるところを見せることで、首脳陣は起用法の選択肢が増える。打撃で何かヒントをつかむきっかけになるかもしれないし、二刀流は根尾にとってマイナスにならないと思います」

立浪監督も「いいボールを投げていました」


 春季キャンプ中の2月24日に根尾が岡林、石川昂也と共にブルペンで投球練習する姿が中日球団のYouTube動画で公開されたが、一番目立ったのが根尾だった。しなやかな投球フォームから手元で伸びる快速球はスピードガンで144キロを計測。立浪和義監督は「みんなバッティングが悪かったときにつぶしがきくように……それは冗談ですけど」と笑った上で、「気分転換にね。根尾なんて非常にいいボールを投げますしね。バッターに代わって(転向して)4年ぐらいですからね。いいボールを投げていましたよね」と評価していた。

首脳陣の技術を吸収して


 もちろん、根尾が外野のレギュラーを目指すことは変わらない。野球評論家の川口和久氏も週刊ベースボールのコラムで、「若手では根尾の成長にも注目している。中日ファンの期待が大きい選手だし、彼を抜てきし、活躍すれば新生立浪ドラゴンズの売りにもなる。今のバッティングを見ると、スイングスピードはあるが、応用力が足りない。はまれば打つが、苦手を攻められたら不振が長引きそうというのかな。ゴルフなら、いいときは80台も悪いときは100を切れないタイプだ。ただ、中日は立浪監督もそうだが、中村紀洋コーチ、森野将彦コーチと非常にバットコントロールがうまい、ゴルフで言うならシングルプレーヤーがいる。彼らは根尾が吸収しなきゃいけないものをたくさん持っていると思うよ」と期待を込めている。

 打って走って、そしてマウンドで投げて……。根尾が輝いている姿をファンは見たい。

写真=BBM
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