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根尾昂の二軍投手デビューに他球団007「これほど良いとは」と驚きの声 一軍昇格でチャンスつかめるか

 

センバツでは「胴上げ投手」に


覚醒への期待がかかる根尾


 中日根尾昂には華がある。高校野球の聖地・甲子園で「投手デビュー」を飾ったその立ち振る舞いに、野球ファンは魅入られた。

 5月8日に甲子園で行われたウエスタン・リーグの阪神戦。「二番・遊撃」でスタメン出場していた根尾が6点リードの9回にプロ入り初のマウンドに上がった。先頭打者の豊田寛を132キロのスライダーで三ゴロに仕留めると、高寺望夢中川勇斗にともに左前打、遠藤成に右越え適時二塁打と3連打で1点を失ったが、江越大賀を149キロの直球で空振り三振に仕留めた。直球は最速150キロを計測。変化球はスライダーのみだったが、女房役・大野奨太の構えたミットにきっちり制球されていた。打者5人に20球投げて3安打1失点。他球団のスコアラーは「これほど良いとは」とうなった。

「高校では投手と野手の二刀流だったが、4年近くマウンドから遠ざかっている。ブランクがあるにもかかわらず、空振りを奪ったり質の良い球を投げていた。制球も良かったし、江越を3球三振に取った最後の球はクイックで投げてタイミングをずらしている。技術を含めて野手ではなく、1人の投手でしたね。救援陣の緊急事態に備えての登板だと思いますが、もったいないぐらいです。一軍でもどれだけ投げられるか見てみたいですね」

 大阪桐蔭高で17年、18年のセンバツでは2年連続で決勝戦のマウンドに登り「胴上げ投手」に。プロ入り後は野手で勝負することを決断したが、今後一軍の舞台で「二刀流」が実現する可能性は十分にある。中継ぎ投手と野手の「二刀流」でかつて話題になったのが、元広島フェリックス・ペルドモだ。ドミニカ共和国出身のペルドモは高校卒業後に、カープアカデミーへ。1992年に広島に入団して1年で退団したが、台湾プロ野球を経て96年に再び入団した。二遊間の守備に定評があったが、その強肩ぶりが首脳陣に評価されて翌97年に投手として登録される。

 投手の打順の時に代打で登場し、そのまま投手でマウンドに上がる場面も見られ、97〜99年までの3年間で投手と野手でプレーした。投手としての通算成績は47試合登板で3勝4敗、防御率4.25。野手では71試合出場で打率.159、1本塁打、4打点の成績を残している。

投手デビューが打撃にプラスに


 同じ「二刀流」挑戦でも、投打で主軸として活躍する大谷翔平(エンゼルス)とは意味合いが違う。プロ4年目の根尾は一軍の舞台で野手として結果を出せていない。遊撃のレギュラーを狙う立場で、投手での登板はチームの緊急事態に備えて準備する機会に限られるだろう。実際に4月2日の広島戦(バンテリン)は延長12回途中に最後の投手だった森博人が起用されると、根尾がブルペンで投球練習の準備を行っていた。

「試行錯誤が続いていますが、打撃は良くなっている。根尾は遊撃としての期待が大きい。正遊撃手だった京田陽太がファーム降格後に二塁に回っていることからも明らかです。投手としてマウンドに立つことは気分転換だけでなく、打撃にも生かされる部分がある。投手としてどういう打者が脅威かと考えたときに、自分が野手として目指す打撃のスタイル、タイミングの取り方、スイングなども見えてくると思います」(スポーツ紙記者)

 5月10日、新型コロナウイルス陽性が判明した木下拓哉石川昂弥の代わりに大野奨らとともに一軍昇格を果たした根尾。同日のヤクルト戦(神宮)、「七番・右翼」で先発出場を果たした。3打数0安打に終わったが、根尾にはスポットライトが良く似合う。このチャンスをつかむ活躍を期待したい。

写真=BBM
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