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首都大学リポート

驚異の打率.462で首位打者争い! 筑波大・石毛大地が急成長した理由/首都大学リポート

 

手に入れた力強いスイング


筑波大の3年生・石毛は今春、首位打者争いを展開している


【5月15日】2回戦(筑波大2勝)
筑波大4−3桜美林大

 昨年まで2年間、リーグ戦無安打だった筑波大・石毛大地(3年・相模原高)が今春、飛躍を遂げている。第6週終了時点で打率.455(22打数10安打)でトップに立っていたのだ。

「もともと足が武器だったこともあって、昨年までは走り打ちのようになっていました。いつも逆方向を狙っていたのですが、弱い打球しか打てず、レフトもかなり前のポジションを取っていました」

 冬場は体幹を鍛え、スイングも修正した。

「軸をぶらさずに打つため、腹筋に力を入れて腹圧を使っています。また、スイングをするときに骨盤が遠回りしていたので、最短距離で速く回すため、後ろから腰を持ってもらって素早く回してもらう動作を繰り返して体に染み込ませてきました」

 効果は抜群だった。「バットも最短距離で出すイメージで振っているのですが、自然とバットも出てくるようになり、ボールを引き付けて打てるようになりました」。さらに「これまではスピードに負けてファウルになっていたところを、タイミングを早くとりピッチャーの足元を狙って上からたたく意識で打ち返すようにしたところ、高めのストレートも打ち返せるようになったんです」とスイングの力強さを手に入れたのだった。

 筑波大・川村卓監督も「昨年までは守備、走塁ではレギュラークラスでしたが、打撃面は発展途上でした。今季は強い打球を打つことができるようになりました」と評価する。

 開幕戦(東海大1回戦)は守備からの途中出場だったが、そこでリーグ戦初安打を放つと、翌週の武蔵大1回戦では二番・左翼で先発出場。2安打を記録し、レギュラーに定着した。

「自分の役割を必死にやってきただけなんですが、昨年までヒットを打てなかった自分が『まさか、首位打者争いをするなんて』という気持ちです」

 第7週は桜美林大との対戦。1回戦は「少し意識してしまった」と無安打。「試合の映像を見直したら体の軸がぶれていたので、修正しました」。翌2回戦(5月15日)では3回表の第2打席に一死一、三塁のチャンスで打席に立つと「追い込まれていましたが、インコース寄りの甘いストレートを引き付けて思いきり引っ張りました」とライトへ先制の適時打を放った。第4打席でも狙いどおりに、投手の足元を抜く中前適時打を放つなど2打数2安打(2四死球1犠打)をマークし、打率は.462に上昇。チームも桜美林大を4対3で下し連勝で、一部残留を決めている。

大学でも文武両道を実践


 急成長したのは、野球だけではない。高校時代、筑波大の練習会をきっかけに野球部への入部を志したものの、8月の段階で模擬試験の結果はE判定。その後、最長で1日11時間の猛勉強で見事に合格をつかみとった。

「勉強も野球と同じで、成果を得られるようになると楽しかったんです」。筑波大に入学したのはすでにコロナ禍に見舞われていた時期だったため「授業はずっとオンライン。今も対面の授業は少ないので野球部以外の友達が少ないんです」と、思い描いていたキャンパスライフとはかけ離れている部分はあるが、日々の時間を大事に過ごしている。

「あこがれていた筑波大の野球部で、役に立てているので充実しています」

 相模原高時代は3年夏の神奈川大会準々決勝で優勝候補・横浜高に勝利し、4強進出を遂げた(石毛は二番・中堅で4打数2安打)。県下屈指の進学校で、「打倒・私学」を掲げる佐相眞澄監督の下で、心技体を磨いた3年間。大学でも文武両道を実践している。

 大学卒業後の進路については「野球は大学で区切りをつけたいと思っています」と、一般企業への就職を考えている。次戦は5月21日に予定される帝京大3回戦。1勝1敗で迎える今季最終戦でタイトル奪取を目指し、完全燃焼するつもりだ。

取材・文=大平明 写真=BBM
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