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プロ野球はみだし録

最後には「長過ぎる」という声もあったが…球界再編の悲劇が呼んだ1年目の交流戦【プロ野球はみだし録】

 

交流戦“元年”は予告先発なし


05年の交流戦覇者はバレンタイン監督率いるロッテだった


 この2022年で交流戦が始まって18年目となる。20年はペナントレースの開幕そのものが大幅に遅れたことで交流戦も中止となったことから、22年の交流戦は17度目。スタートしたのは05年だ。その前年、04年に吹き荒れたのが、いわゆる球界再編の嵐。特にパ・リーグは大荒れとなり、2リーグ分立から熱いドラマを紡ぎ続けていた近鉄が歴史の1ページとなり、新たに楽天がプロ野球に参加した。

 それ以前にもパ・リーグから交流戦の提案はあったが、1試合1億円ともいわれる巨人戦のテレビ放映権料が入るセ・リーグの球団が反対したこともあって、実現しなかったという。球界再編は悲劇だった。ただ、こうした悲劇がなければ現在のわれわれは交流戦を楽しむことができなかった、というのも確かだ。

 もはや当たり前の光景になっている気もするが、それまでは別々のリーグに所属するチームが対戦するのは開幕の前、調整の要素も濃いオープン戦か、日本一を懸けた頂上決戦である日本シリーズのみ。日本シリーズは各リーグの優勝チーム、つまり1チームずつしか出場できないから、下位に低迷することが多いチームが別リーグのチームと公式戦で“真剣に”激突する光景は、かなり新鮮だった。とはいえ、すぐに慣れてしまった向きもいたようで、「長過ぎる。2回に分けたほうがいい」という声もあったという。このときはホーム&ビジター方式で1チーム36試合でもあった。

 ただ、試合は探り合いのような展開になることも少なくなかった。ルールも現在とは微妙に異なる。すでにパ・リーグで導入されていた投手の予告先発は、このときは採用されず。つまり、パ・リーグのチームは交流戦だけ予告先発のない公式戦を経験することになったわけだ。指名打者制は日本シリーズと同様、パ・リーグ球団の主催ゲームのみ。この変化は投手にも打者にも大きな影響を与えたはずだ。これだけが原因ではないだろうが、パ・リーグの投手はリラックスして投げていたように見え、逆にセ・リーグの投手は苦戦していた印象があった。また、環境の変化による歴戦の男たちのピンチは、まだプロの経験が少ない若手にとってのチャンスでもあった。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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