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【MLB】エンゼルスの守備の名手ベラスケスの価値をどう判断すべきか

 

抜群の守備でエンゼルスの投手陣を助けているベラスケス。課題は打撃。先発出場を続けながら、どれくらい打撃で成長できるだろうか


 5月18日終了時点で24勝16敗、好調エンゼルスを支える主要メンバーの一人に、守備の名手、遊撃手アンドルー・ベラスケスがいる。守備範囲の広さ、強肩、どんな難しい打球でもアウトにしてしまう。見ていて楽しい。そんな彼がメジャー5年目で、これまでレギュラーに定着できなかったのは、打てないからだ。

 通算打率は.185で、OPSは.525である。今季、なんとしてもポストシーズン出場を果たしたいエンゼルスで、最後まで彼をレギュラーとして起用すべきか、あるいは打てる遊撃手を探すべきか、今後興味深いテーマになりそうだ。

 ベラスケスはヤンキー・スタジアムのあるニューヨーク州ブロンクス出身、父親はニューヨーク市警の巡査だった。「いつかヤンキー・スタジアムでプレーすることをモチベーションにしてきた」と振り返る。高校時代は陸上部にも所属、短距離走と高跳びの選手だった。

 2012年ダイヤモンドバックスからドラフト7巡で指名されている。13年、14年は1A。当時はヒットを結構打っており、14年は74試合連続出塁のマイナー記録を打ち立てている。14年11月、トレードでレイズに移籍。メジャー・デビューは18年9月で、そのときは13試合に出たが、先発は1試合だけ。打撃成績は10打数3安打だった。19年もシーズンの3分の2はマイナーで、途中レイズからインディアンスにトレード。メジャー15試合で打率.087だった。戦力外となり、20年2月オリオールズがウエーバーで獲得。新型コロナの短縮シーズンだったが40試合に出場、スタメンも22試合あった。しかし打率.159でオフに再び戦力外である。

 21年はヤンキースとマイナー契約。3Aのコーチは、打席で投手の配球パターンを読み、狙い球を絞れと指導。結果3Aで、打率.283,OPS.838、7本塁打、43打点、26盗塁と活躍し8月に昇格。背番号71番は地元出身というので、アナウンサーに「ブロンクスキッド」と呼ばれ人気者になった。

 ホームでのレッドソックス3連戦では7打数3安打4打点で「ずっとここでプレーすることを夢見てきたけど、現実の方が素晴らしい」と感激している。しかし9月には降格となり、11月ウエーバーでエンゼルスが獲得した。

 守備は本当にすばらしい。守備防御点はここまで「5点」で、MLBの遊撃手では2位。平均的野手に比べて「5点」多く失点を防いだことになる。「好守の連続で、投手陣から感謝のカードがいっぱい届くのではと聞かれると、「年末には贈り物が来るかな」と笑ったあと「今は自分の仕事をするだけ。可能な限り投手を助けたい」と頼もしい。

 しかしながら移籍情報に詳しいジ・アスレチックのケン・ローゼンサル記者は、遊撃手のポジジョンのOPSは30球団中26位であり、ポジションは確定ではないとした。

 ジョー・マドン監督は「体は強いし、みんなが思っている以上に打てる。あとは高いボールやワンバウンドを振って投手を助けないこと」と指摘した。今季ここまでスタメンは30試合。20年の22試合、21年の20試合を抜き、自己最多を更新している。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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