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注目の右腕“四番・エース” 渡邊顕人を軸に快進撃を誓う“都立の雄”雪谷

 

「背負ってもらわないと」


雪谷高は産業技術高専との東東京大会1回戦[7月10日]で5回コールド勝利[11対1]。大黒柱の渡邊は3打点の活躍を見せた


 雪谷高を率いて2年目の伊達昌司監督(元阪神ほか)は、渡邊顕人(3年)に対して、このような期待を寄せている。

「エースで四番。背負ってもらわないと」

 産業技術高専との1回戦は四番・右翼で出場。初回に先制打を放って主導権を握ると、2、4回には犠飛で計3打点。チームの5回コールド勝利(11対1)に貢献した。この日、エース番号1を着けた渡邊の登板はなし。伊達監督は「渡邊以外にも投げさせたい投手がいる。総合力で勝ち上がっていきたい。今日は生徒がよくやり、ノビノビとプレーしてくれた」と、難しい初戦の入りを評価した。

 184センチ77キロ。渡邊は均整の取れた体であり、注目の右腕である。右打席からのスイングは鋭く、野手としての動きを見ただけでも、センスの良さを感じた。

 夏の開幕直前の練習試合では、自己最速を2キロ更新する145キロを計測。冬場はウエートトレーニングに励み基礎体力を磨き、春以降は瞬発系のメニューを取り入れ、体のキレを追い求めてきた中での球速の成果であった。変化球はカーブ、スライダー、チェンジアップをコーナーに投げ分けるのが持ち味だ。

 昨夏は初戦(2回戦)で、修徳高に敗退(0対2)。渡邉は2点ビハインドの4回、右翼手から救援した。6回無失点と力投を見せたが、チームを勝利へ導くことはできなかった。

 昨秋は一次予選で八王子高に敗退(4対10)し、都大会出場を逃した。今春は一次予選を突破したものの、本大会1回戦で東亜学園高に8対13と善戦及ばず、敗退した。今夏、雪谷高は東東京大会での上位進出、そして19年ぶりの甲子園を目指している。

 朋優学院高との2回戦(13日)で勝てば、3回戦でシード校・修徳高との対戦が実現する。

 伊達監督は「昨年負けているので、そこまではたどり着けるようにしたい」と気を引き締めれば、渡邉も「この1年間、あの悔しさをバネにやってきた。組み合わせ抽選で対戦できるチャンスがあることを知り、うれしかった。ここでやるしかない、という気持ちです」と決意を新たにした。負ければ終わりのトーナメント戦であり、まずは、2回戦を一戦必勝の態勢で、全力で挑む。

 雪谷高は2003年夏、東東京大会を制して甲子園初出場を遂げた「都立の雄」だ。今夏は渡邊をチームの「顔」に、快進撃を誓う。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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