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“ドラフトの目玉”日体大・矢澤宏太「リーグ優勝に向けて、これまでの4年間を出し切りたい」/首都大学リポート

 

初戦は逆転サヨナラ負け


日体大・矢澤は筑波大1回戦を7回1失点で降板後、DHを解除して右翼手として出場した


【9月3日】一部リーグ戦
筑波大3x−2日体大
(延長11回、筑波大1勝)

 9月3日、首都大学一部リーグ戦が大田スタジアムで開幕した。

 第3試合にはドラフトの目玉として注目を浴びる日体大・矢澤宏太(4年・藤嶺藤沢高)が登場。今春は投手として4勝2敗、防御率1.83。44回1/3を投げて43奪三振。打者として打率.350、1本塁打、8打点でDH部門のベストナインを受賞し、二刀流で活躍した。

 この日の筑波大1回戦は投手として先発し、試合途中からDHを解除して野手としてプレーした。

 まずは投手の矢澤だが、1回裏、先頭打者に四球を与えると、送りバントと内野ゴロで二死三塁のピンチ。ここで次打者を三振に仕留めたものの、このボールが暴投となって三塁走者が生還。まさかの形で先制を許してしまう。しかし、その後は「打者がスライダーに手を出してこなかったので、わざわざ狙っているストレートを投げることもないと思った」とスライダーを中心にした組み立てで打たせて取るピッチングを披露する。

 最速は145キロにとどまったものの「ストレートが悪いときはスライダー。スライダーが悪いときはストレートやチェンジアップと対応できるように練習してきました。ゾーンに投げ込めればそこまで打たれないので力みすぎず、淡々と投げました」とスコアボードにゼロを重ねていった。

 同点に追いついた直後の7回裏はヒットと2四死球で二死満塁のピンチを招くも最後はレフトフライに打ち取り、ここで降板。結局、7回を投げて3安打1失点、5奪三振という結果となった。この後、DHを解除し五番・ライトに入った矢澤。試合は1対1のまま延長タイブレークにもつれる熱戦となり、10回表には二死満塁の場面で打席へ。「自分にはあまりインコースに投げてこず、引っ掛けさせようとしてくるので丁寧に。逆方向を狙っています」と初球をとらえた打球は快音を残し左中間へ飛んだが、レフトがつかみチェンジ。

 11回表に1点を勝ち越した日体大だったが、最後は筑波大の粘りの前に屈し、試合は2対3で逆転サヨナラ負けを喫してしまった。

高いレベルの打者と対戦して


 この夏は侍ジャパン大学代表としてオランダで行われたハーレムベースボールウイーク2022に出場(4位)。野球伝来150年プロアマ記念試合や侍ジャパンU-18代表との壮行試合にも出場するなど多忙を極めた。ただ、高いレベルの打者と対戦したことで「今は『ここに投げておけば大丈夫』と思える自信がある」と話す。

 また、今春のリーグ最終戦から「踏み込む右足の使い方を意識し、お尻で受け止めるような感覚で投げるようにしました。そのおかげでストレートが良くなり、打者が真っすぐを待っているカウントで投げても簡単に前に飛ばされずファウルでカウントを稼げるようになりました」と手応えをつかんでいる。

 すでにプロ志望届を提出したが「4年前からこのドラフトのためにやってきたので『4年経ったんだな』という気持ちだった」と自然体の矢澤。今秋は「とにかくリーグ優勝に向けて、自分のこれまでの4年間を出し切りたい」と完全燃焼し、10月20日のドラフト会議に向かう。チームは開幕戦黒星スタートも、巻き返すチャンスは十分に残されている。

取材・文=大平明 写真=BBM
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