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桜美林大の“快足トップバッター”鎌倉滉太。4年後のプロ入りを目指して磨く技術/首都大学リポート

 

「一番は居心地が良い」


桜美林大の一番打者・鎌倉は急成長中だ


【9月11日】一部リーグ戦
筑波大6−0桜美林大
(筑波大2勝)

 1年生にして今秋、桜美林大の斬り込み隊長を任されているのが鎌倉滉太(関東一高)だ。

 武器は自他ともに認める俊足。50メートル走は中学時代にしか計ったことがないというが、当時で驚愕の5.9秒を計測していた。関東一高でも「チームで一番足が速く、トップバッターを任されることが多かった」と話す。

 3年春は東京大会を制し、関東大会準優勝。夏は東東京大会で優勝候補の筆頭に挙がっていたが、二松学舎大付高との決勝で1対5と敗れて甲子園出場経験はなし。鎌倉自身も背中の肉離れのため、先発はかなわず、途中出場を余儀なくされ「本当に不甲斐なかった」と振り返る。そこで、夏の大会が終わった直後の8月からは、2年時から声を掛けてもらっていたという桜美林大の練習会に参加し、フォームの改造に取り組んだ。

「高校時代は上からたたく感じだったのですが、大学では投手のキレが良くなるので、バットをボールのラインに入れて打つこと目標にレベルスイングへと大幅に変えました」

 桜美林大では「上下関係が厳しくないので先輩とも話しやすいですし、そこまで気を使わずに野球ができる」とのびのびとプレーすることができており、特に関東一高の先輩でもある平泉遼馬(3年)には一緒に食事へ行くなど、私生活の面でも世話になっているという。野球の面では「バットが金属から木製に変わり、ピッチャーのレベルも格段に上がったのでバットの芯に当てないと飛んでいかない」と話すものの、すぐに頭角を現し1年春からベンチ入り。リーグ初安打も記録した。

 津野裕幸監督も鎌倉については「足が速い」という第一声のあと、「この夏のオープン戦ではずっと一番を任せました。ホームランを放つなど長打もあるのですが、足があるので出塁率の高い選手になり、これからの4年間を一番打者としてやってもらいたい」と大きな期待をかけている。

 鎌倉も「一番は居心地が良い」と話しており、指揮官の期待に応えるべく「今はゆるいボールを体の前まで引き付けてショートの頭へ打つ練習をしています。落ちるボールが苦手でボール球に手を出してしまうことがあるのですが、呼び込んで打つことを繰り返したことでボールを見切れるようになり三振の数も減ってきたと思います」と技術の向上に余念がない。

相手から嫌がられる打者に


 こうして迎えた秋季リーグでは、チーム開幕カードとなった武蔵大1回戦で第3打席にセンターへ2点タイムリー。幸先の良いスタートを切ると、続く2回戦も3打数1安打。そして、第2週の筑波大1回戦こそノーヒットに終わったが、翌日に試合があるにも関わらず「夜の9時過ぎまで、バットを振っていた」(津野監督)と明かす。すると、筑波大2回戦では「自分が決めるというよりも、後ろに良いバッターがいるので先輩たちへつなぐ気持ちで打席に立っています」と第2打席に137キロの真っすぐを二遊間へ弾き返すヒットを放ち、すぐに結果を出した。しかし、チームは0対6で敗れ、開幕4連敗。

 鎌倉は4打数1安打に終わり、課題を挙げた。

「まだ1試合で1本しかヒットが打てていないので、選球眼や状況判断を良くして相手チームから嫌がられる打者になりたい。そして、一番打者は初回の先頭打者の場面で塁に出ることが役割だと考えているのですが、それができていないので次の試合こそは出塁したい」

 4年後はプロ入りを目標にしている鎌倉。中学時代に所属した千葉西シニアでチームメートだった大河原翔(東海大山形高、楽天育成選手)と村山亮介(幕張総合高、ロッテ育成選手)は一足先にプロ入りしており、「4年後にプロで待っていて」と話しているという。

 大きな夢の実現のため「首都リーグで首位打者やベストナインなどのタイトルを獲りたい。そのためにもミート力を上げ、足が売りなのでセーフティバントなどの小技も磨いていきたい」と抱負を語る。かつての仲間に追いつき、追い越すため、桜美林大での4年間で研鑽に励む。

取材・文=大平明 写真=BBM
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