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巨人・ウィーラーの去就は? 他球団が「まだまだできる」と獲得に乗り出す可能性も

 

「選手たちの良きお手本」


今季はわずか30試合の出場にとどまっているウィーラー


 クライマックスシリーズ圏内の3位浮上を目指す巨人だが、ファームで若手選手たちと汗を流している選手がいる。来日8年目のゼラス・ウィーラーだ。

 2015年に来日し、楽天の主軸として活躍。17年には31本塁打を放ち、勝負強さにも定評があった。ファンから愛されたのはそのキャラクターだった。ベンチの先頭に立ってナインを鼓舞し、得点が入ると喜びを爆発させる。元気がない選手には声を掛ける場面も。外国人選手で球団史上初の副主将を務めた。当時の楽天の関係者は「ウィーラーは自分が打てないときも、チームを盛り上げてくれる。なかなかできることではないですよ。野球に対する姿勢もストイックで常に全力プレーを怠らない。選手たちの良きお手本です」と語っていた。

 20年にジャバリ・ブラッシュステフェン・ロメロと外国人枠を巡る競争に敗れて開幕一軍を逃すと、6月に池田駿とのトレードで巨人に移籍する。明るい性格で新天地でもすぐに溶け込んだ。昨年の巨人は新外国人たちが大誤算だった。エリック・テームズが来日デビュー戦となった4月27日のヤクルト戦(神宮)で外野守備の際に「右アキレス腱断裂」の重傷を負って戦線離脱。8月23日に退団が発表された。

 メジャー通算196本塁打のジャスティン・スモークも前半戦終了後にコロナ禍で家族が来日できないことでストレスをため、球団と話し合いの末に退団。8月上旬に途中入団したスコット・ハイネマンも10試合に出場後、原因不明の体調不良を訴えて帰国した。新外国人の野手3人がシーズン途中にチームを去る事態で、ウィーラーは孤軍奮闘した。

 春先から22試合連続安打をマークするなど、首位を快走するチームを牽引。本職は三塁だがチーム事情に合わせて左翼、一塁を守った。前半戦の活躍ぶりが認められ、球宴に初出場。規定打席に16打席不足したが、121試合出場で打率.289、15本塁打、56打点。得点圏打率.346と野手陣の中で貢献度はピカ一だった。

来季の契約は微妙な状況


 今季は新外国人のアダム・ウォーカーグレゴリー・ポランコが起用されているため、ウィーラーは来日最少の30試合の出場にとどまり、打率.196、2本塁打、5打点と結果を残せていない。35歳という年齢を考えると来季の契約更新は微妙な状況だが、他球団の首脳陣は「まだまだ十分にできる」と評価する。

「ファームの試合を見ていると体にキレがなくなったわけではないし、試合に出続ければある程度の結果は残せると思う。新外国人は未知数なので、ウィーラーのように日本で実績のある選手は計算できる。今年は一軍登録日数が145日に満たないが、来年に一軍で結果を残せばFA権を取得して、再来年から日本人枠になるのも大きなメリットになる。助っ人選手たちの良きお手本になるし、チームにもたらすプラスアルファは大きい。年俸の大幅ダウンは避けられないが、巨人が契約を延長しなかったら他球団でプレーする可能性は十分にある」

 周囲を明るくする太陽のような存在で、ファームでも全力プレーは変わらない。今はCS出場に向けて戦うチームから離れているが、いつでも力になれるように準備している。「フォア・ザ・チーム」を貫いて戦い続けたウィーラーの去就が注目される。

写真=BBM
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