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全勝で上武大が5季連続38度目の優勝。神宮切符を勝ち取るために「まずは横浜で2勝」

 

3年生を前倒しで主将に


関甲新学生リーグ戦を制した上武大は、部員全員で喜びを分かち合った


 上武大が関甲新学生リーグ戦を制した。5季連続38度目の優勝を9戦全勝で飾った。

 白鷗大との今季最終戦(10月8日)は、ドラフト1位候補の151キロ左腕・曽谷龍平(4年・明桜高)を攻略。2回裏二死走者なしから七番・後藤陸(4年・東海大相模高)が四球を選ぶと、八番・村田龍哉(3年・徳島商高)の中越え三塁打で先制。続く石澤凛汰郎(4年・樟南高)の左前打で2点目を挙げた。

 曽谷は4回2失点で降板。上武大は8回裏に貴重な2点を追加し、4投手の継投により、4対0で逃げ切った。上武大・谷口英規監督は試合後、今夏の大学日本代表でプレーしたプロ注目投手から得点した打線を称えた。

「曽谷君はハイレベルの投手。クロスの角度があって、右打者が内角をさばくのは難しい。試合前は『3安打で3点を取ってくれ』と言っていました。(白鷗大戦までの)空き週の間は、振り込みをしっかりし、研究してきた。食らいついて、成果を出してくれました」

 上武大は今年6月の全日本大学選手権準優勝。谷口監督は「プライドはいらない。責任を持ってやろう」と学生を鼓舞。秋のシーズンを前に3年生・進藤勇也(筑陽学園高)を新主将に据えた。上武大では4年生の主将が秋のシーズンまで務める慣例があるが「進藤は今後、いろいろなものを背負っていかなければならない」と、谷口監督は今春までエース兼主将だった右腕・加藤泰靖(4年・志学館高)から、前倒しする形で、不動の司令塔をチームリーダーに指名した。

 強肩強打捕手・進藤は今夏、大学日本代表で初めて日の丸を背負い、来年のドラフトでは上位指名候補として、NPBスカウトが注目している。「主将は初めての経験。4年生に支えてもらいました。やりやすい環境で感謝しています」。副将には藤原龍之介(秋田南高)、河野椋斗(尾道高)、後藤(東海大相模高)の4年生3人が、進藤を側面からサポートした。

 優勝旗を手に、進藤は充実の表情を浮かべた。

「うれしいです。ホッとしました。目標は日本一。ここで優勝して、横浜市長杯(明治神宮大会出場2枠をかけた代表決定戦)乗り込むことができるのは良かった。現状に満足せず、レベルアップしていきたいです」

神宮の悔しさを晴らすために


 この日の試合会場は活動拠点の上武大野球場。一塁側ブルペン後方のスタンドには控え部員が全力で応援した。上武大の伝統である「全員野球」を結実させ、リーグ優勝後はメンバー、メンバー外が分け隔てなく喜んでいるのが印象的だった。谷口監督は言う。

「スタンド組の4年生も最後まであきらめず、横浜でのベンチ入りを目指して努力している。できるものならば全員、ユニフォームを着させたい思い。そうした上級生の姿勢が、チーム力を高める。この秋は勝ちたい。まずは横浜で2勝し、神宮大会の切符を勝ち取りたい」

 今年6月、亜大との全日本大学選手権決勝は序盤から主導権を握られ、見せ場を作れず1対7で惜敗した。神宮での悔しさは、神宮でしか晴らせない。上武大の秋はまだまだ続く。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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