週刊ベースボールONLINE

首都大学リポート

リーグ優勝を狙える好位置につける筑波大で攻守で要のポジションを任される西浦謙太/首都大学リポート

 

「打てるうえに勝負強い」


四番、捕手を任され、チームの中心選手である西浦


【10月9日】一部リーグ戦
筑波大8−1明治学院大
(筑波大2勝1敗)

 首都大学リーグ第6週2日目。リーグ優勝も狙える好位置につけた筑波大で四番・捕手と攻守で要のポジションを任されているのが西浦謙太(3年・八尾高)だ。

 高校時代は2年夏の大阪大会8強。2年秋と3年春は16強と、強豪ひしめく大阪にあって、公立校ながら上位に食い込み存在感を示してきた。その八尾高で指導を受けた長田貴史監督(当時)が筑波大OBだったこともあり、同大学の野球部を志したという。

 本格的に受験勉強を始めたのは3年夏の大会が終わってからだったため、筑波大の合否判定はE判定からだったというが「毎日10時間、多い時は1日12時間。野球が終わってからは勉強しかしていませんでした」と猛勉強の末に一般受験で筑波大に合格を果たした。

 野球部に入部してしばらくはレベルの差に苦しんだというが先輩をはじめ、チームメートの協力を受けて徐々に頭角を現していった。

「キャプテンの濱内太陽さん(4年・履正社高)にはバッティングについていろいろと指導していただきましたし、今のバッティングフォームは生島光貴(3年・福岡県立福岡高)から教えてもらったもので、お尻に体重をのせるようにすることで肩が開かなくなり力が出やすくなりました」

 また、学生コーチへ転身した選手や試合に出場していないチームメートからも手厚いサポートを受けているという。

「自主練では、ひたすらボールを投げ続けてくれているので、思う存分、自分の練習をすることができています。そのおかげでバッティングが良くなったので、本当に感謝しています」

 こうした縁の下の力持ちがいることでチームは一体感をもってリーグ戦に挑めている。

「筑波大の野球部は本当にみんな人が良い。試合前にバッティング練習などをすることもあるのですが、4年生が嫌な顔を一つもせず準備をしてくれる。東海大や日体大といった強豪と筑波大が渡り合えているのはこういったところに理由があるのだと思いますし、誇れるところだと感じています」

 川村卓監督が「3年生ですがリーダーシップがある選手。バッターとしても左打者が多い打線のなかで、右打者では一番、打てるうえに勝負強い」と評価するように、西浦はこの秋のリーグ戦でスタメンに定着した。

つなぐ四番としても機能


 チームも粘り強い戦いぶりで開幕週の日体大戦ではタイブレークにもつれ込んだ2試合をともに制して勝ち点を挙げると、第2週の桜美林大戦でも連勝。西浦も好守の両面で活躍し「圧倒的なピッチャーはいないのでリードするときは緩急を使いながら、いかにストレートを速く見せるか。そして、変化球をキレ良く見せるかを考えています。バッターとしては四番といっても、自分よりすごい打者がたくさんいるので、とにかく後ろへつなぐことを意識しています」と、時には送りバントやセーフティバントを決めるなど、つなぐ四番としても機能している。

 こうして第6週を迎えた筑波大。1勝1敗で迎えた明治学院大との3回戦でも四番・捕手で出場した西浦は1回表に二死一、二塁のピンチを迎えたが「ピッチャーが投げやすいボールや投げたいボールを意識してサインを出しています」と、ここはカーブで完全に打者のタイミングを狂わせて空振り三振。

 一方、バッティングでは1回裏一死二、三塁のチャンスで打席に立つとショートゴロ。その間に三塁走者が生還し先制点を挙げると、第2打席は二死満塁から「ピッチャーがプロ注目の佐藤幹投手(4年・駿台甲府高)だったので、追い込まれる前に自分から仕掛けて、どんどん振っていこうと考えていました」と高めに浮いたカーブをとらえ、レフトの頭上を越す走者一掃のタイムリーツーベースを放ってみせた。

 西浦の4打点の活躍もあり、そのまま8対1で明治学院大を押し切った筑波大。これで武蔵大、東海大の勝ち点3で並び、勝ち点2ながら日程の都合であと2カード(第7週に東海大1、2回戦、第8週に桜美林大3回戦)を戦う日体大を加えた4チームが優勝の可能性を残して最終盤を迎える大混戦となった。

 筑波大は勝率で劣るものの、第7週の武蔵大との直接対決を制すれば2位以上が確定し、明治神宮大会の出場権をかけた関東地区大会に出場できる。西浦は明治神宮大会を観戦するために神宮球場を訪れたこともあるそうで「自分も出場したい」という思いを強くした。もちろん、「可能性は低いかもしれませんが、チャンスをつかみとりたい」とチームとしては18年秋以来、西浦自身としては初めてとなるリーグ優勝に向けて意欲を燃やしている。

取材・文=大平明 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング