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プロ野球記録ノート

CSファイナルの下位球団勝ち抜け率は約21% 今季首位に負け越しの阪神、ソフトバンクは果たして【プロ野球記録ノート】

 

セは6回連続3位がファイナルへ


DeNAを2勝1敗で下してCSファイナルステージへコマを進めた阪神・矢野監督


 クライマックスシリーズ(CS)が始まり、パ・リーグは2位のソフトバンク西武に連勝、セ・リーグは3戦目までもつれ込み3位の阪神がDeNAをかわしファイナル進出を果たした。

 パは2018年以降、4シーズン連続で2位チームが勝ち上がったが、セは2016年以降、6回連続で3位チームが勝ち上がっている。勝敗アドバンテージがない2勝先勝だけに、セは2位が6、3位が9、パも2位が7、3位が8チームと3位の勝ち上がりのほうが多い。

 今年の阪神はDeNAに対して9勝16敗と大きく負け越していた。それも敵地・横浜では2勝11敗とカモにされていた。阪神はDeNA戦の負け越しは7だったが、シーズンの対戦成績で7以上負け越していたのにファーストステージで勝ち上がったのは、いずれも3位チームで、

 2008年 中日(3位)○●○ 6勝17敗1分 阪神
 2017年 楽天(3位)●○○ 8勝16敗1分 西武

 の2例だ。

 2008年の中日は11も負け越していて、特にビジターでは2勝11敗だった。内訳は甲子園で2勝10敗、スカイマーク(現・ほっともっと神戸)で1敗の内容だったが、ペナントレース終了後、甲子園が改修工事のため使用できず、京セラドームで行われた。中日にとっては嫌なイメージの甲子園ではなかったことがラッキーだったかもしれない。

 2017年の西武対楽天は、ペナントレースでは12回戦まで楽天が7勝5敗とリードしていたが、8月の13回戦以降は西武が11勝1敗1分と圧勝。ホームのメットライフドーム(現・ベルーナドーム)でも9勝3敗と大きく勝ち越していた。西武はCS初戦も、相手エース・則本昂大を打ち崩し10対0と大勝したものの、2戦目は1対4、3戦目も2対5と連敗し敗退した。

 2位のチームが3位のチームにペナントレースで勝ち越していたのは20チーム、負け越し8、タイは2と圧倒的に勝ち越しチームが多いが、3位チームのほうが勝ち上がりが多いという「一発勝負」のファーストステージだ。

2010年ロッテの「最大の下克上」は異色


2010年のロッテは3位から日本シリーズに進出した


 ファイナルステージは1位チームにアドバンテージ1勝が与えられる(ただし2007年のセ・リーグはなし)。昨年まで29チーム(2020年はパのみの開催)が制覇しているが、そのうち6チームがペナントレース2位以下のチームだ。

2007年 中日(2位)○○○ 巨人 12勝12敗
2010年 ロッテ(3位)■○●●○○○ ソフトバンク 9勝15敗
2014年 阪神(2位)■○○○○ 巨人 11勝13敗
2017年 DeNA(2位)■●○○○○ 広島 13勝12敗
2018年 ソフトバンク(2位)■○●○○○ 西武 12勝13敗
2019年 ソフトバンク(2位)■○○○○ 西武 13勝12敗
(■はアドバンテージ敗戦)

 やはり異色は2010年に「最大の下克上」を成し遂げたロッテ。ペナントレース中も9勝15敗と負け越し、ヤフードーム(現・PayPayドーム)でも3連戦3度はいずれも1勝2敗(その他2連戦1勝1敗、1試合のみ1敗)と劣勢だった。ファイナルステージでも1勝3敗と崖っぷちから3連勝して見事に勝ち抜いた。その他の5チームはペナントレースでもほぼ五分の戦い。下位チームは連勝で勢いに乗ることが大事と言える。

ソフトバンクはポストシーズン18連勝中


 今年のセ・リーグのヤクルト対阪神。ペナントレース中の対戦はヤクルトが13勝11敗1分と2つの貯金だが、神宮では5勝7敗と負け越している。開幕戦の京セラドームでは阪神が5回終了時、8対1と大量リードしながら6回以降ヤクルトが怒濤の攻撃を見せ10対8と逆転勝利。ヤクルトは勢いに乗り開幕カード3連勝。逆に阪神は球団ワーストの開幕9連敗と最悪のスタートを切った。その当時はこの舞台にいるとは想像もつかなかった。

 阪神のエース・青柳晃洋はヤクルト戦は5試合に投げ3勝1敗、防御率2.38だが、神宮では4月22日、7月8日に連続完封。4試合に投げ3勝1敗、防御率1.29と相性がいい。ファーストステージ初戦に先発しているので3戦目か4戦目の登板が予想されるが、ヤクルトはそこまで優位に進めていくことが肝心だ。一方、三冠王の村上宗隆は阪神戦の打率.260、7本塁打といずれもリーグ最低の成績。それでも7月31日(甲子園)では3連発で試合を決めた勝負強さもある。村上VS.阪神投手陣の対戦は見ものだ。

 パ・リーグはオリックス、ソフトバンクともに76勝65敗2分とまったく同じ成績だった。しかし直接対決でオリックスが15勝10敗と上回っていたためオリックスが優勝した。ペナントレースで直接対決で5以上勝ち越しているチームは過去8チームあり、そのうち7チームは日本シリーズ出場を果たした。

 オリックスのエース・山本由伸はソフトバンク戦に5試合に登板し防御率は1.93だが3勝2敗の成績。2敗しているが、4月19日と5月3日といずれも前半戦。後半は3連勝、それに京セラドーム(4試合)では防御率0.56とほぼ完璧なピッチングを見せている。

 初戦の先発が予想されるが、ソフトバンクにとって、山本という牙城を崩せば、日本シリーズも見えてくる。ポストシーズン18連勝中と短期決戦は無類の強さを見せているだけに注目だ。

文=永山智浩 写真=BBM
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