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日本ハム1位の日体大・矢澤宏太。神宮大会出場へ投打「二刀流」で残りの学生生活を燃え尽きる

 

大学4年間で成長した点は?


日体大・矢澤[中央]は10月22日の桜美林大3回戦で、首都大学リーグ戦制覇。試合後、古城監督[右]と辻コーチ[左]から労われる


 日本ハムからドラフト1位指名を受けた日体大・矢澤宏太(4年・藤嶺藤沢高)が有終の美を飾った。勝てば優勝の大一番・桜美林大3回戦(10月22日)。矢澤は1対0の9回裏に追い付かれ、同点のまま、10回表からはタイブレーク(無死一、二塁からの継続打順)へ突入した。

 日体大は10回表に無得点。その裏一死二、三塁の絶体絶命のピンチを迎えた。「前に飛ばさせない。三振を狙いにいきました」。得意のスライダーを多投して、二者連続空振り三振。「自然とスイッチが入った。冷静というよりは、ガツガツ」。アドレナリン全開だった。流れは一気に日体大へ傾き、11回表は3点を挙げ、その裏は2年生右腕・箱山優(日体大柏高)が締めた。4季ぶり25度目の首都大学リーグ制覇である。

「個人的な感情は取り除いて、チームで戦おうと思っていました」

 2日前にはドラフト会議、そして、前日には日本ハム・稲葉篤紀GMから指名あいさつ。慌ただしい日々を過ごしているが、しっかりと、大一番に合わせてきた。

 この4年間で、何が成長したのか。日体大・古城隆利監督が明かした。

「入ってきたときは、能力だけでやっていて、頭一つ抜けており、自由なところがあった。この4年でチームの見本、鑑になった。人間的な成長を感じる。涙を流していた? 勝って泣けるのは、やりきったからこそです」

 日体大の戦いはまだ、終わっていない。明治神宮大会出場2枠をかけた、関東選手権が控えている。11月7日の初戦(2回戦)では、今年6月の全日本大学選手権準優勝・上武大(関甲新学生1位)と対戦する。

「神宮への出場権を獲得して、日本一を達成できるように、頑張っていきたいです」(矢澤)

 リーグ優勝を決めた試合後、三塁側2階席では、日体大の伝統の応援である「エッサッサ」が披露された。約300人の部員が一糸乱れぬ、華麗な動きを見せた。

「これだけの部員がいて、メンバーでなくても、応援してくれた。スタンドが喜んでくれて、うれしかったです」(矢澤)

 副主将でもある矢澤は、チームのために腕を振る。この日は野手としての出場機会はなかったが、俊足、強肩、巧打の外野手との「二刀流」で、残りの学生生活を燃え尽きるつもりだ。

文=岡本朋祐 写真=井田新輔
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